彩虹眷村
実は、私が台中をこの旅程に入れた理由は、彩虹眷村という小さな村に行きたかったからだ。
初めて本で見たときに、彩虹眷村に心を鷲づかみにされてしまった。ここは平日の午前中に来ないと、人が多くて大変だという話なので、わざわざ平日に来れるように台中の日程を組んだほどだ。
彩虹眷村は
実はホテルの傍に高鐵台中駅行きの無料シャトルバスが出ていることを発見したのだ。
実はこの無料シャトルバス、バス乗り場には料金が書いてあるので、「ここは違うんじゃない?」と思っていたのだが、キョロキョロとしている私達に地元の人が「合ってるよ」「大丈夫だよ」「この1658番のバスがフリーだよ」と教えてくれまして。無事に台中駅に着くことができたのだ。
駅に着いたら、駅で客待ちをしているタクシーの運転手さんに彩虹眷村の写真を見せて、「ここに行って、私らを待っててもらっても良い?おいくら?(我想去到彩虹眷村、請等待我、好嗎? 多少銭?)」と書いたら、「300元」という返事だった。あ。中国語は間違ってるのかもしれないけど、取りあえずこれで通じたので!
そして辿り着いた彩虹眷村は、小さなおうちの壁や塀を赤やピンクをメインにしたペンキで可愛らしくペイントされた、ものすごく可愛い町だった!写真で見たときは「ちょろっと、この家だけ可愛くなってるのかな?」と思ったのだけど、そんなこと全くなく!
赤やピンク、そこに黄色やブルーなど、様々な色で線書きされているのは、人やネコやドラえもんのようなまるまっちくも可愛いキャラクター達。そんな賑やかな絵が、あちこちにたくさん描かれているのだ。家の周り丸々。壁も全面。道路にまで!!
この可愛らしいペイントは、たった1人のおじいさんが何十年も1人で描き続け、村中を可愛く塗り替えていったのだ。
元々この場所は、国共内乱後に国民党が台湾に逃げて来たときに、国民党員の住む場所が足りないからと建てられた、仮設住宅村だったのだそうだ。しかし時代が進むにつれ、この仮設住宅からは段々人が減っていき、とても淋しい村になったらしい。
そこでそのおじいさんが、村が淋しく見えないように、絵を描き始めたのだ。おじいさん、絵は一度も習ったことがないのに、村を明るく楽しい場所にするために。
おじいさんは今では「彩虹爺爺(にじのおじいちゃん)」と呼ばれて親しまれている。
「平日の午前中でないと学生さん達が観光に来るから混んでいる」という情報だったのでちゃんと平日の午前中に行ったのだが、私達が行ったときには既に学生さんのグループが来ていて、狭い村の中は人でいっぱいだった。村のすぐ脇には公園があるので、そこで子供達を遊ばせながら、人が少なくなるのを待つ。
実は我々が彩虹眷村に行った2012年当時、彩虹眷村には幹線道路が出来る予定で、存亡の危機、という時期だった。村の外には「道路建設反対。彩虹眷村を残そう!」というスローガンが書かれていて、その壁にもおじいさんの絵が広がっていた。
「もっと日本でも知られて、観光客がここを見るために台中に来るようになれば、潰されたりしなくなるのかな」と思っていたのだが、今は保存が決定して、おじいさんの絵はどんどん広がっているそうだ。先日彩虹眷村に行ってきた友人の写真では、子供達が遊んだ公園も立派に明るく整備され、遊びに行きやすい公園になっていた。台中から彩虹眷村に行かれるバスもあるそうだ。良かった良かった。
先にいた学生さん達が帰った後で、私達も村の中に入り、彩虹爺爺にお会いしてきた。おじいちゃんは自分の描いた絵をポストカードやクリアファイルなどのグッズにして販売し、その売り上げで活動している。もちろん、入村料は無し。なので私達もポストカードを購入し、おじいちゃんに握手していただいた。
おじいちゃんの手には爪の間にペンキが入っていて、今でも毎日描き続けているのだなぁとびっくりした。だって、彩虹爺爺は2012年当時、既に90才!とてもそうは見えないお元気さで、ニコニコと私達と握手をして下さった。
可愛らしい絵に子供達も喜び、気に入った絵の前でポーズを取って写真をねだられたりした。は~。眼福眼福♥♥
その後またタクシーで台中駅に戻り、無料シャトルバスに乗ろうとしたら「高鐵の切符見せてください」と。そ、そうか。このバスは高鐵乗った人へのサービスだったんだね。いや、私らは明日の切符持ってたから、「ああ、切符を買いに来たんだね?」と解釈してもらえたのか、無事に乗せていただけたのだけど。行きはチケットのチェックはなかったんだけどな……。
高鐵台中駅から台中の街中への無料シャトルバスは、2012年当時、SOGOデパート前などを経由して台中公園が終点だった。台中公園はほとんどのバスが経由しているので、取りあえずこのバスに乗って、台中公園から自分のホテルにバスで移動するなりタクるなりするのが良いのでは。
最初に台中に着いたときに、無料シャトルバスがあることを知らずに乗ったホテルまでのタクシーは、270元(約810円)もしたのだ……。台中からのタクシーは、よその都市に比べると格段に遠く、格段に高かったので、皆様はぜひ無料シャトルバスをご利用下さい……。
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