蓮池潭:春秋閣と五里亭

 北極亭を楽しんだ後、また橋を渡って湖畔の散歩道に戻る。北極亭から春秋閣に向かう散歩道には蓮の花が咲き乱れており、蓮池の中に橋が架けてあったり、木陰があったりで、散歩にはぴったりだ。


 次の目的地である春秋閣と五里亭は、なんだか欲張りすぎてどこからどう攻めたらいいのか分からない……。

 

 まず、白い服を着た観音様の像があり、その左右に春閣と秋閣という建物が2つ並んでいる。この2つをまとめて「春秋閣」と呼ぶのだそうだ。


 この春秋閣の脇に、長い龍がパックリと口を広げている。口から中に入り、お尻から出ると悪業が消えるのだそうだ。逆から入っては絶対にいけないと。


 ……でもこれ、絶対龍虎塔をパクったんだと思うんだけどなぁ……。どっちが歴史古いんだろう……。私の勘だけど、最初は春秋閣普通の建物で。でもそれだといまいちインパクトが弱くて、人気の龍虎塔をパクったんじゃなかろうかと……いや、ただの勘なんだけど……。どうなんだろう、そこの所。


 どこから攻めようかと悩むのは一瞬で、当然子供達はさっさと龍の口に向かっていく。龍の腹の中は、左右の壁に道教のストーリーが絵で描かれている。このお話に目を通すから、悪業が消えるのかな?

 しかしこの龍の腹、長い上に上下左右にものすごいカーブしてるので、歩いてるだけで軽く酔うよ……。


 龍のお尻から出ると、すぐに春秋閣に渡れる橋があり、また、湖の奥に向かっても橋が架かっている。こちらの橋は、赤い橋に黄色いぼんぼりが並んでいて、とても可愛らしい。

 その橋の到着点にある建物が、五里亭だ。


 五里亭は二層の塔のような建物で、壁がないから風通りが良い。

 1階にはコインで動く動物の乗り物がいて、子供達が遊びたがり、引き離すのが大変だ……。くそう、商売上手だな……。


 2階に上がると何も置いてなくて、がらんとしている。手すりとベンチが一体になっているので、そのベンチに座って休憩タイムだ。


 辺りの風景に目をやってほうっと息をつく。風も涼しいし、日陰なので暑さもグッと和らいでいる。湖から見えるのは、隣の竜虎塔や北極亭、春秋閣の像や建物だ。それから、対岸のお寺や建物も見える。でも、そのにぎにぎしい極彩色の建物も、湖の上から見ていると少しけぶって見えて、なかなか良い雰囲気だ。


 子供達は1階の動物の乗り物に行きたがるが、「少しは休ませてよ~」と文句を言っていたら、子供達もそのうち諦めたのか、何故かその場で踊り出した。五里亭まで来る人は少なく、さらに2階で休んでいる人はもっと少なくて、その場にいたのは私達の他に1組のご夫婦だけだった。

 うるさいかな、と思って謝ろうとしたが、そのご夫婦はうちの子供達のデタラメな踊りを面白がって見てくれた。逆に喜ばれてしまうと子供達は照れてしまって、「もう行こうよ」と私達の袖を引き、余計に微笑まれてしまったのだが。



 橋を春秋閣まで戻ってきて、そこから湖畔の散歩道に戻ろうと思ったら、やたらと湖の岸の辺りに亀がいる。

「おぉ!亀だ!」

「亀がいる!」

 と喜んでいたら、どうやら出口の辺りに亀小屋らしき物があり、亀はここで飼われていたらしい。なんだ……。飼ってるのか……。それじゃいて当たり前だな……。

 つうか、どうせ亀飼うなら、北極上帝の方で飼えばいいのに。亀だから。

 しかも、亀の餌売ってるし……。

 も~。商売上手だなぁ……。いや、うちらは買いませんでしたけどね💦



 春秋閣の向かいには啓明堂が建っている。啓明堂は太上老君(老子・道教の始祖)と關聖帝君(関羽)を祀っているので、私のような封神演義&三国志ファンには堪らない廟だ。


 他にも啓明堂には民族の英雄とされる、岳武穆王(岳飛)と延平郡王(鄭成功)が祀られている。


 岳飛は北方謙三の書いたいわゆる「北方水滸伝」でも活躍する、宋時代の英雄で、私の大好きな武将の1人だ。(しかし本物の中国の水滸伝には登場しない)水滸伝の時代に実在した英雄で、中国では関羽と並んで人気のある武将だ。各地に廟があり、今も祀られている。


 鄭成功は清に滅ぼされかけていた明を守って抵抗運動を続けて台湾に入り、当時台湾を治めていたオランダを打ち破ったことから「国姓爺」と呼ばれている、台湾の英雄。鄭成功の母親は日本人で、世界不思議発見では「日本と台湾の繋がりはこんな頃にまで遡れるんですね」とまとめていた。

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