初めての子連れ海外旅行は台湾で!!
熊猫 いぬ吉
まずは旅行の準備
さぁ、どこへ行く?
「5才と8才の子供を連れて台湾に2週間行くんだ」
そう言うと、たいていの人から、
「子供を連れて行っても大丈夫なほど安全なの?食べ物は?子供が病気になったらどうするの?何も見る所がなくて、子供が退屈するんじゃないの?」
そんな言葉をたくさん貰った。
「何で台湾なの?もっと楽しそうな所はたくさんあるじゃない」
これも何度も言われた言葉だ。
もしかすると、これがハワイなら「良いな~」と言われるのかもしれない。ヨーロッパなら?バリやプーケットなら?
でも、台湾だと「大丈夫?」と言われてしまうのが、私には意外だった。
大丈夫だよ!だって、台湾だもの!
私が小さい頃、台湾というのは「日本のすぐ隣にある、日本より小さな国」「え?台湾って中国とは違うの?」くらいに思われたいたように思う。でも今、台湾は「優しくて思いやりに溢れた隣人」「美味しい物がたくさんあって、パワースポットもたくさんある」「ちょっと旅行してみたい国」になっているのではないだろうか。
互いの国のイメージは、2つの国で様々に起きた災害を通してどんどん良くなっていったように思う。辛いときの友が本当の友。互いを思いやる気持ちが、2つの小さな国の関係を深めてくれたのだろう。
雑誌やネットでも、あの震災の後に「今、台湾に行こう」という記事をよく目にするようになった。
時は2012年。「台湾に行こう」という気運は徐々に高まりつつあったが、でも私達が台湾を旅行先に選んだのは、そういった理由ではなかった。
我が家の大黒柱であるパパ吉の会社は、勤続10年ごとに2週間の休暇が与えられる。「10年後にはどこに行くか」というのは、常に私達の頭にあって、雑誌を見る度、テレビを観るたび、「次はここに行きたいね」と楽しい話題になる。
私は若い頃、バックパックを背負って色々な国の安宿を泊まり歩いていた。大学で歴史を勉強していたせいもあって、また、建物好きなこともあって、旅先は遺跡や歴史的建造物がある場所、もしくは、古くても新しくて洋の東西どちらでも良いから、ステキな建物のある場所を選んだ。そういう物を眺めるなら、時間はゆっくりたっぷりかけて、自分の好きに動き回りたい。そんな理由で、グループツアーは少々苦手だ。
ダンナとの新婚旅行も電車を乗り継いでリヒテンシュタインのお城を観に行ったし、ダンナの勤続10周年ご褒美休暇も、フリーで中国の三峡下り&三国志史跡巡りの旅だった。中国の宿はその日に飛び込みで決め、1泊の宿代は2人で100元(当時約1500円)。ダンナから「頼むから200元以上の宿にして下さい」と泣きつかれたのも良い思い出という、そんな建物・史跡巡り好きバックパッカーだ。
そんな私が好んで観るせいか、子供達も「世界遺産」とか「世界不思議発見!」とか「世界ふれあい旅歩き」といった番組が大好きで、特に娘は建物マニアに育ちつつある。旅行の話になれば、女2人は「いかにも外国外国していて、遺跡とかお寺とか教会とか変な建物とかがあるような場所が良いよね」とワクワクする。息子は幼稚園児らしく海で遊びたいと言うが、ダンナは泳げないので海しかない場所はイヤだと言う。毎日毎日事あるごとに、私達はそんな話をして喜んでいた。
だが、実際にどこに行こうかという話になると、私達には考えないといけないいくつかの問題があった。
我が家は4人家族。旅行に行く2012年当時、8歳になる娘のぢぞ吉は、卵アレルギーと「行きの飛行機恐怖症」というのメンタルを抱えていた。5歳の息子であるたぬ吉は、まだまだ小さいので、急に熱を出したりおなかを壊すこともあるだろう。
パパ吉は泳げなかったり、英語を話したがらない。ママである私は個人旅行で色んな国に出かけているにもかかわらず、未だに旅行の直前になると何故か不安で具合が悪くなる。英語もそこそこしかできず、中国語は筆談がやっとだ。
そんな私達が「2週間ストレス無く旅行を楽しもう」と思ったとき、最終的に落ち着いたのが台湾だった。
消去法である。
まず、クリアしなければならないのが、ぢぞ吉(娘・8歳児)の「行きの飛行機恐怖症」だ。
「行きの飛行機恐怖症?単に飛行機恐怖症じゃなくて?」と思う方も多いだろう。私達も最初はそう思った。
ぢぞ吉は、幼稚園の頃は飛行機でパパ吉の田舎に行くのを喜んでいた。だがちょっとずつ成長してくると、段々飛行機に酔うようになる。しかも必ず、行きだけ。
これは飛行機だけではなかった。初めて行く場所、行き馴れない場所に行くときは、いつも行きにだけ具合が悪くなるのだ。気持ちが悪いと言って、30分も40分もトイレから出られなくなることもままあった。おなかを壊したり、リバースしてしまったり。ものすごく楽しみにしている遊園地でも、友達の家でも、少し遠い場所にあると辿り着くのが大変なのだ。
そうしてやっと辿り着いた先に「具合が悪くなっても横になって休める場所がある」と分かるなり、ケロリと治ってしまう。さっきまでのあの具合の悪さは何だったの?と、最初は狐に摘まれた気分だった。
そうやってすぐにケロリと治ってしまうせいか、建物好きのぢぞ吉は旅行も大好きで、あそこもここも行きたがる。彼女には「旅行に行かない」という選択肢はない。「行きだけちょっと具合悪くなるけど、すぐ良くなるから良いじゃん」と思っているのだ。親の心配をよそに。
なんでこんなに旅行が好きなのに、行きにだけこんなに具合悪くなるのよ!?と思ったのだが、考えてみれば私も旅行の直前に不安すぎてリバースしてしまうのだ。血か!?血なのか!?
どうやらこれは軽目の不安神経症のようで、ぢぞ吉の「行きだけ具合が悪くなる」状態は、2016年の今でも続いている。さすがに友達の家や遊園地に行くときに具合が悪くなるようなことはなくなったが、遠足や修学旅行でも、「行きだけ」バス酔いするのは相変わらずだ。
しかし、バスや電車と違って、飛行機は「具合が悪くなったから途中で降りて休む」事が出来ない。以前、こんな事になってるとは知らずに飛行機に乗ってしまった時は、娘はフライト中ずっと気を失ったように眠っていて、目が醒めるとリバースという結構な地獄を体験した。そうして飛行機を降りてホテルに入るなり、何事もなかったようにケロリとして元気に遊び出したのだ。
そこで、子供も診てくれるメンタルクリニックに相談してみたら、先生は心得た物で、「魔法のお薬をあげようね。これを飲めば、絶対に酔わないんだ!飲んだらちょっと眠くなるけど、起きたらもう目的地に着いちゃうからね!旅行が楽しくなっちゃうよ!これは魔法のお薬だからね!!」と、軽めの抗不安剤を暗示と共に出してくれた。
事前にこれを国内旅行で試してみたのだが、それほどガクリと寝ちゃう訳でもなく、でもちゃんと吐かずに済んで、「さすが魔法のお薬!」と娘に更に暗示をかけてみた。これで一安心!
そうは言っても、長時間のフライトで効き目が薄まることはないのだろうか。それで具合が悪くなったらどうしよう。そう思うと、我々が飛行機に乗っていられる時間はせいぜい3時間までだろう。
ということから、旅の行き先は「3時間以内に行かれる場所」ということが絶対条件となった。
次に考えないといけないのは、ぢぞ吉のアレルギーだ。
ぢぞ吉には軽度の卵アレルギーがある。とても軽度で、ハンバーグのつなぎやパンの照りだしに塗られている卵程度なら大丈夫だし、ファミレスの海老フライも大好きだ(ただし、さすがに家で作る場合は、これらは除去している)。もしアレルギーが出てしまっても、口の中が痒くなる位なのだが、それでも辛い思いをすることに変わりはない。
だから「親が食事に不案内な国はパスしたい。メニューを見れば大体何が入ってるか分かる国にしよう」いうのはかなり重要項目だ。
それからもちろん、急な体調不良にあったとき、できれば日本語の分かる病院がたくさんある国が良い。最近は、東南アジアの国でも日本語OKの国もあるが、それはとても数が少ない。もちろんその為に保険に入っておくのは必須だが、日本語OKの病院のリストをまず用意しよう。
他にも細かいことならたくさんある。
値段交渉をいちいちしないと行けない国は面倒だ。チップも計算が分からないから、無い方が良い。タクシーがぼったり遠回りしたり勝手に自分の知り合いの店に連れて行こうとするような国はもう勘弁。トイレの使い勝手の良い国が良いし、子供の遊べる場所が多い国が良い。
そんなことを考えながら、テレビや雑誌の特集を見て、「どこの国が良い?」と子供達に訊き、子供達が挙げた国の中から、上記の条件に照らして考えていったら。
台湾じゃん!台湾しかないじゃん!!
台湾なら中国語のメニューだから、大体メニューに食材書いてあるし。
それに美味しい物もたくさんある!屋台の食事はどれも美味しそうだし、子供達も台湾の具だくさんのかき氷を前から食べたがっていたし!
海もあるよ。海水浴場も!春休みだからまだ泳ぐのには早いけど、水遊びくらいは出来るはず!
それに、台湾には日本語が出来るお医者さんがとてもたくさんいるのだ。日本で勉強したお医者さんも多いし、奥さんが日本人だから日本語が通じる、という病院も結構ある。
それに台湾は親日国だ。反日国でちょっと怖い思いをしたこともある自分的には、子連れで行くからには親日の国が良いに決まっている。
それに真面目な国民性だからだろうか、タクシーでいやな思いをしたという話も聞かない。
よし!台湾だ!もう台湾しかないよ!!
そう思って、2012年の2週間という長期休暇は、台湾に行くことに決定した。
実際に行ってみたら、台湾は私達が思っていた以上に子連れ旅行者に優しい国で、「子連れ旅行は日本国内よりも断然台湾の方が良いよ!!」と、後々周り中のママ友に言いまくることになることを、この時の私達はまだ知らなかったのだけれども────。
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