台湾最初のご飯と、最初の「子連れ天国体験」



 無事に高鐵新幹線のチケットを買ったら、もう6時近かったので、夕飯はこのまま台北駅の地下のフードコートで食べることにした。


 フードコートの中に入っている店は結構混んでいたが、テーブルが通路にも置いてあって、そこでも食べれるようだ。もちろん、速攻でそちらへ移動。まずは私とぢぞ吉が買い物に行って、パパ吉と息子は席取り係だ。


 取り敢えず、麺と飲茶のテイクアウトショップに入っていく。買い物はもちろん指でメニューを指すだけでもOK。


 ぢぞ吉は麺とお茶のセットをチョイス。実は中国や台湾のペットボトルのお茶には、砂糖が入っているのが普通で、「無糖」を探す方が大変だ。緑茶や烏龍茶に砂糖が入っている、というのは我々の感覚には馴染まないが、それがこちらの「普通」なのだから、楽しまないと損だ。

 しかし砂糖入りの烏龍茶を初めて飲んだぢぞ吉は、思いっきり変な顔をした。「甘くない」と思ってるものが甘かったので、一瞬味が分からなくなったようだ。


「ママ!これ飲んでみて!?甘いよ!?」

「甘いだろうねぇ」

 すでに中国で甘いお茶のペットボトルを経験済みの私はニヤニヤしてしまう。良いなぁ、この反応。イタズラが成功したような気分だ。


 麺には大量の練り物と野菜が乗っていて、これで、129元(大体380円ぐらい)。私は水餃子と棒餃子で65元(約210円)だった。やはり、安い。だが、旨い♥


 その後、ダンナとたぬ吉が買い物に行ったのだが、なかなか帰ってこない。どうやら奴らは店内で食べているようだ。

 帰ってきてから何を食べたのかきいてみたら、40元くらいの具なしの麺だよ、と。

「え?そんだけ?」

「あとね、アイス食べた!」

 たぬ吉が自慢しげに言うと、パパ吉の目が泳ぎ出す。


 ……おい。そのアイスはどんなアイスだ……?


 訊けば、「トッピング自由!つうか量り売りだから!」というアイス(100元・約300円)を食べたと! ちょ!!ずるすぎる!! 

 だって、麺が40元なのに、100元もするアイスって高すぎない!?贅沢すぎるでしょ!?

 

 このアイスのことで男性陣は女性陣から相当恨まれた。食べ物の恨みは怖いのだ。

 


 やんややんやと言い合いながら、ホテルに戻ろうとMRTに向かう。行きと違って、帰りは帰宅ラッシュが始まっていて、電車は大混雑だった。

「邪魔にならないように大人しくな」

「ちゃんと端っこに寄って、ママに掴まって」

 いつものように子供達にそんなことを言いながら電車に乗った。


 だが、この時私達はとても意外な事に遭遇した。


 ぎゅーぎゅーの満員電車で、みなさんお疲れの筈なのに、笑顔で子供に席を譲ってくれようとするのだ。


「大丈夫です!」

 私達は慌てて手や首を振って、席は譲らなくて良いからとアピールした。

 だって、お仕事で疲れている人達から、遊びに来ている子供が席を譲って貰うなんて、ありえないだろう!?


 ところが慌てて席を断ろうとすると、席を譲ろうとしてくれた人はさっさと席を立って、離れた所に移動してしまうのだ。呆気にとられていると、周り中の人から「子供を座らせなさい」と身振り手振りで言われまくる。


 いつも東京の電車で、子供連れで肩身の狭い思いをしているので、正直、最初は面喰らった。そうして面喰らいながら子供を座らせると、「ほら、お母さんも一緒に座ってあげなさい」と席を指さされるのだ。


 この旅をしていて分かったことだが、台湾ではほとんどの駅に授乳室があった。調乳用のお湯もある。駅だけではなく、デパートはもちろん、男子が多く利用するだろう電気街のビルの中にまで。小さい子供を連れた母親が出歩きやすいように工夫されているのだ。


 それは座席や授乳室だけのことではない。町中まちなかには子供用の公園も多い。町中まちじゅうの人が子供に声を掛けてくれる。とにかく、みんな子連れに優しいのだ。国中の人が「子供は宝物」という感覚でいるのだろう。


 おかげで、子供が電車や食堂で騒いでも「ハオハオ」とか、日本語で「カワイイデスネ、ゲンキガイチバンデスネ」と声をかけてもらったりして、本当にありがたい思いをさせていただいた。この国では「子供連れて電車に乗るなよ!」とか「うるさいな、黙らせろ!」などと言われることはないのだ。これは本当にありがたい。日本国内を旅行するより、どれだけ旅行しやすいことか!!


 初日から「なんて子供天国な国だろう!子供と旅行するなら、台湾はベストだな~」と思った出来事だった。


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