幕間
Episode.2 誰かへの手紙
僕、君を描いてから一度も人間を描かなかったんだ。怖かったから。だから――の絵ばかり描いていたんだけど、なぜかとても売れたんだ。ああ、あと、勿忘草。あれは毎年ちゃんと植えたよ。あとね、君が――は、少しだけ花を咲かせたけど、あの土手、なくなったんだ。だから君の植えた種は潰れてしまった。まあ、そうなってもいいと思ったから、あんな風に適当に蒔いたんだろうけど。
僕は、君が――た時、一瞬本気で死のうかなって思ったんだ。でも、とりあえず、君と約束したろ。――の修道院を見に行きたいって。高校でバイトして、一緒に行こうってさ。結局、僕は周りに推されて大学まで行ったから、渡航するのは遅くなってしまった。今もまだ大学生なんだけど、今は交換留学中なんだ。――に通ってる。なんでそこにわざわざ行くんだって周りからは色々と言われたんだけどさ、この国は――、――交流美術展も開かれたりしてるんだ。だから、まあ、そんな感じの理由を並べて、納得してもらったんだよ。
本当は、どこでもよかったんだ。医療が杜撰なところであれば。
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手紙の一部は煤け、文章は不自然に途切れている。
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