葉霜雁景

その国は、本国では『化け物』『呪われた目』と蔑まれるこの目が『生き神の徵』として貴ばれる地だった。 大陸にある大国から南海の島国へと島流しのように使者として送られた先で、まさに…

「シャンクフラウンの左目」 隠遁した画家シャンクフラウンへ、私は北の王の依頼を告げにいった。しかし彼は、もう絵は描けぬという。そして「描けぬ」ということを証明してみせるといって、…

少年は落ちた鳥と出会い、また少年は失われた星と巡り会う――。 赤い岩砂漠に囲まれた砦の街ティシサに住む少年たちの物語。 死んでいくもの生まれるもの、そして受け継がれるもの。旅路と…

「僕は君を愛せない」 死の淵から助けてくれた王子は、死体愛好家だった。 王子の許を離れた白雪姫は、独りで故郷の地へと行く。 ※これは小説家になろうにも掲載しています

アウレール・クレンゲル。俺がどう足掻いても、敵うことのない孤高の騎士。 春の聖霊祭のハイライトである剣術大会で、俺は奴とまた対戦する。 もう何度目かも分からぬ敗北を覚悟して――。

　慶長年間、徳川による泰平が確立されてしばらく経つ大坂。 　武士らしい死に様を求めて生家を出奔し、大坂までやって来たとある牢人は、強者から相手にされないことに苛立ちを募らせていた…

友だちのように結婚もせず、定職にも就かず、どこかに出せるあてもない小説を書きながら、近所の葡萄園でのパートでお茶を濁す日々。そう、私の生きる日々は「秋」。私は秋を生きている――。…

いちにいさんで、みんな並んだ。 次に落ちるのは私ですか、僕ですか、俺ですか、君ですか、あなたですか。 これはみんなみんな平等なのだ。 誰もに等しく、理不尽なのだ。

死をもたらす反物を織る女・たづ。彼女は秋の山奥で、ひとり静かに織っている。 ある時、彼女の元へ傷ついた若鳥が現れた。その若鳥の正体は……。 死と禁忌、罪滅ぼしを巡る、淋しい秋の織…

八重園初男が「その場」を歩いていると、とある場所に辿り着いた。やえむぐらとススキが生い茂る小さな公園。そこにいたのは、八重園慎二がまだ幼稚園児だったころの姿だった……

天の墜落。それが今、世界が見舞われている危機。 天を支える塔の建設によりなんとか事なきを得ているが、ついには天使すら落下した。 宇宙に逃れる術もなく、ただ墜ちる空を見上げるだけの…

　半年ぶりに恋人から澪の元へと届いた便りは、結婚式の招待状であった。もちろん澪とのではない。社交界の華と謳われる令嬢との結婚式だ。 　満月の明かりの下、絶望に打ちひしがれる彼女を…

pixivのさなコン2024に応募した作品です。 ある日の朝、青い星の住人の日記に謎の文字列が出現していた。数百文字ほどの文字列は、何十億冊もの日記帳それぞれに書き込まれていた…

幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎の生き様。

　祭りに行こう。 　友人に誘われて、気合を入れて浴衣を着てきた梨沙だったが、まさかの友人は蒼色無地の地味な浴衣でやってきた。 　町一番といっても過言ではない美少女がいったい何故？…

この世の有り様を音として聴く力があり、音を奏でれば人ならざる者とも繋がることが出来る役人『巡楽師』のディンクルパロット。 彼の次の仕事は、滅びと恵みをもたらす牡牛の道中を見守るこ…

　海賊アウレリオ・バルラガン一味と、その宿敵の海軍レイナルド・オルモス艦隊が繰り広げる海洋ロマン、作品集。 ○海賊に買われた令嬢の選択 　半年前に誘拐された令嬢が､ 海賊船で…

『九尾の花嫁』の番外編ですが、登場人物が人外だっていうくらいの事前情報だけで読める小話です。 ちょっと作者が書きたくて書いただけの話。 『九尾の花嫁』本編のネタバレ要素もあります…

どこにでもある田舎・伏見谷で普通の高校生として暮らす平凡(？)な妖狐・壬は、ある日、格も次元も違う鬼の女の子・伊万里と出会う。 彼女は、三百年前に妖狐の谷・伏見谷をつくり世を去っ…

　あやかしの国「阿の国」。北の領を統べるのは「月夜（つくよ）」と呼ばれる鬼の一族。一族の王、鬼伯の娘・藤花、その姉・深芳、そして深芳の友人にして博学子の娘・千紫、運命に翻弄されな…

あやかしの国「阿の国」。北の領を統治する鬼伯（鬼の王）の息子である碧霧は、ある日、紫月という名の女の子と出会う。二つ鬼と一つ鬼、それぞれ訳ありな二人は、お互いの素性を隠したまま、…

　類い希なる実力と高校生らしからぬ威風堂々とした佇まいで一目置かれる剣道家、真金埼律貫。常に泰然として他を圧倒する彼はある日確信する──幼馴染みの少女、荒鷹千代子が幸福であって欲…

のんびり創作活動をしている筆者の寝言。 創作との向き合い方や、筆者の創作の仕方、あと性癖発表会。 こんなやつもいるんだぜ、というエッセイとなります。

小さなとかげが、夜空のねがい星に恋をするお話です。

「もしもあなたが世界を壊してしまうのなら、わたしがあなたを殺してあげる」 あなたを殺せるのは、はじまりの神であるわたしだけ。 顔も知らない愛しいあなた。あなたが世界を終わらせ…

本作は草森ゆき（@kusakuitai）様の自主企画「死別ブロマンスを書いて欲しいリターンズ」（https://kakuyomu.jp/user_events/168180930…

　時は天正五年、所は近江国。 　今をときめく織田家に仕える武人、直刃は、近頃近江の各所で頻発する人食い虫の調査と撲滅を命じられる。古くより近江に根づく言霊使いの一族、波分家の名代…

ある日の夕方、魔物と戦っていた『星焔灯』を猟師は保護した。『星焔灯』はヴェネレと名乗り、自分が魔物を倒す代わりに、しばらくの間、面倒をみてほしいと頼んできた。 ※ノベルアッププ…

教室というのは四角四面で、檻に似ている。 水中を捨てて陸地に上がったことは、進化と呼ぶのだろうか。

遠い昔。とある地方で、毎年、桜が散る頃になると発生する、謎の病が蔓延していた。悪くすると死に至る災厄で、村人が大勢亡くなった。 村外れの桜の大木に宿るという、万能の守り神に厄を祓…

　フリッツを乗せた列車が辿り着いたのは、見渡す限りの雪原だった。線路の脇には穴が掘られ、その淵には反乱軍の構成員たちが跪いている。 　――これから、処刑が始まろうとしていた。 　…

十三年前、鬼帝国の侵攻により滅んだ小国・融。敵の気まぐれで生き残った末の王子は復讐を誓った。 時は流れ、大人になった彼の元には頼もしい同志が集い、鬼人打倒と故郷奪還に動き出す。 …

ずっと友達だと思っていた。 でも、そう思っていたのは私だけなの？ ──教えてよ。

世界は死を望んでいた。 人間は魔物の死を。 魔物は人間の死を。 相容れない人間と魔物。 終わらない戦。 そして、変わろうとはしない両者。 彼女は出会う。一人の夢魔に。 少女は出…

　クロメルは興奮を抑えきれなかった。目の前にただ一人立つ狼少年は、バトルロイヤルの優勝者。そしてクロメルの〝狩り〟の対象者だ。 　戦いに渇いたクロメルに、狼少年の死を乗せた爪が迫…

古代中国の亡命詩人と、娘の姿をした桃の樹のおはなし ＜冒頭＞ 辛くも都を逃れた李韓が、郷へ戻る道すがら行商人に出くわした。 　地まで届く辮髪と白い顎髭を持った仙人のような老爺…

（はりといろ） 玻璃に色を写し、その色で言葉以上のものを伝えあうロトビ村に住むことになった、わたしの物語。

そいつは出会った頃から変なやつだった。 でも、優しくて物知りで色々なことを教えてくれた。 そんな、インターネットで知り合った友達の話。

　帝都の地下に広がる地下迷宮。そこに向かう電車の中で、刹那は少女と二人きりだった。 　彼女――美晴は、友人だった。彼女が抜け駆けして地下迷宮へと赴いた、あのときまでは。 　KA…

　青年と、人間になりたい少女が紡ぐ、ありふれた——でもかけがえのない日常と残酷な運命の物語。 　ある日の昼、藤川 るい は、突然景色が夜になるのを目の当たりにし、真っ白な制服を…

町で診療所を開業している私のもとへ、谷間の集落から動けなくなっている患者の治療要請が飛び込んできた。 偶然にも巡回診療の日と重なり、私は谷間の診療所へ向かうのだが、そこで待ち受け…

「第一部完結」自生するものが白い命を得て育つ〈白幹ノ国〉の軍人、高久匡は軍曹の階級を維持したまま新人少尉の教育教官・補佐役を務めていた。彼の教育を受けた新人少尉の生還率は高く、昇…

ビルツ邸の裏庭で、花々が氷下の眠りにつく冬。 記憶喪失のアンナは、美しき地下牢の青年・眠りの君と出会った。一目で恋に落ちた彼女は、他者を寄せつけようとしない青年になんとか振り向い…

　桜が盛る夜、楼閣の茶屋で酒を飲んでいた妖祓いの燈架は、興が乗じて相席していた少年に菓子を奢った。そのことを切っ掛けに、少年――颯季と奇妙な縁で結ばれる。彼が主とあおぐ麗人、都で…

聖セラフィーナ魔法学院に通うユーフェミアは落ちこぼれだった。勉強の成績は良いものの、いつも魔法を暴走させてしまい、一度も成功させたことがない。 卒業を一年後に控えても成長しない自…

大切な存在を喪った人のための、グリーフケアのために開発されたアンドロイドの主人公。 若くして妻の美桜を亡くした直人に、美桜の記憶を移植された上で寄り添うことになる。 しかし、亡く…

ありえなかった明日の記憶。 神殺しの王は片翼の天のみ使いから翼をもいでしまった。 それでも、いい。あなたと明日を歩みたい。

東の国には、季節を司る紅葉の巫女がいる。 恋によって季節を変える巫女の相手に選ばれたのは、無骨な剣士。 ふたりは次第に惹かれ合っていく。

瀛洲(えいしゅう)から出奔を果たした八咫(やあた)と食国(おすくに)は、本人たちの意志に関わらず引き離されることとなった。八咫は仙山(せんざん)、食国は白浪(はくろう)に属し、そ…