少し古い時代の中東にも似た世界観で描かれる、星の輝く夜の似合う、静かな風合いの物語。沙漠に臨む赤土の地に集落を構えた騎馬民族の六番目の男児とその弟、七番目の男児が知る世界。祭の帯の鮮やかさ、夜の冷たさ、震える鳥の儚さ、定めのもたらす孤独、時を超えた邂逅、継がれる名。悲しくも美しい。憧れを込めて、ただそう感じる。彼らが紡ぎ、織り成す命の物語をもっと読みたい。