マギクス・コアの歌姫は亡霊騎士に祈りを捧ぐ

古代魔法と機械技術が融合した『魔導機構（マギクス）』によって発展を遂げたラウスペル帝国。
その片隅の劇場には、顔と名前を秘し、毎夜たった一曲だけを歌う異色の歌姫がいる。
〈歌うたいの幽霊姫〉と称される少女は、かつてラウスペル帝国の侵攻により滅亡したテュフォン王国の王女・ルーナだった。
帝国兵に誘拐され、『魔導機構の心臓（マギクス・コア）』をその身に埋め込まれたルーナは、名前を捨て、忌み嫌われる灰色の目と髪を隠し、たった一人で歌い続けていた。

そんな彼女の前に、ある夜、漆黒の鎧を纏う美貌の騎士が現れる。
「ずっと探しておりました。――我らが姫君」
男の名はレムール。八年前、王国が侵攻を受けたときに死んだはずの近衛騎士。
王国の人々の怨念と〝呪い〟により蘇ったレムールは帝国への復讐心に染まり、…続きを読む