葵 春香

生を受けて 生きる　 価値とは何だろう 大切なものって 幸せって そこにあるということ 死のすぐ隣りに この詩を読んで、そんなことを思った。 きらきら透明で、けれども強い…続きを読む

誰しも、心の奥底に潜ませている悪癖がある。 幼少期、理不尽に晒され、伸び伸びと自分らしくいられなかった者であれば、尚更だ。 ぶつけようのない苛立ちと不満が、自傷行為へと昇華される…続きを読む

作者様の言語や文学に対する造詣の深さにはいつも驚かされている。豊かな語彙や知識を駆使して古典を訳し、自らも創作する稀有な才能をお持ちの方だ。特筆すべきは、どの作品にも独自の感性や気…続きを読む

幻想作家に寄り添う悪魔は、陰気で疲れた色気を漂わせている。そして、それは怪談作家にしか視えない。 耽美とは、常識や倫理を超えた先にあるもの。 感情を観念に昇華させたときに生まれる…続きを読む

彼岸の本来の意味は、迷いや苦しみの元である煩悩のない極楽浄土のことだ。 ならば、そこへ渡った人たちは幸せなのだ。 それなのに、遺された者はお彼岸やお盆に故人を想い、懐かしみ、逢い…続きを読む

カクヨム学園文化祭は今年も大盛況に終わり、校庭は後夜祭で賑わっていた。キャンプファイヤーが轟々と燃えている。 葵は校舎裏で仲間と煙草を吸っていた。灰色のため息のような煙が、春の夜空…続きを読む

その昔、紫は貴重な色であり、高貴な御仁しか身に着けることを許されなかった。紫草の根から取れる染料は希少で染色に手間がかかったし、貝紫に至っては最も高貴な色とされていたのだ。紫式部が…続きを読む

作者様の小説を読む時、私は時々書籍化された作品を読んでいるかのような錯覚を覚える。 比喩が卓越している。隠喩は勿論のこと、直喩の感性に吃驚し、物語の世界に自然に入り込んでいく。し…続きを読む

美とは。 自分らしさとは。 答えは分からないけれど、分かっていることはこの自分ではないってこと。そんな脆いけれど、正直で真摯な2人は互いが必要だった。 マジョリティとは違う自分…続きを読む

パリの蚤の市には、長い歴史を乗り越えた古道具が並んでいる。アンティークとは呼べないような、地味で、使い古され一部破損しているようなものだってある。 それらをじっと眺めていると、ま…続きを読む

女性の男を見る目というのは、その人がどんな家庭、特に父親のもとで育ったかというのに影響されやすいように思う。 どんな親のもと、どんな家庭で育つか。 いろいろあれども人並みの家庭に育…続きを読む

心の声が聞こえる。 「それは嘘だ、本心じゃない」 だけど、自分を守る為にずっと嘘をついてきた。だって、その人は自分の近くにいて逃げる事ができないから。 だから、傷ついていないふりを…続きを読む

もの静かで読書好きな青年のアルバイト先に入ってきた清楚な女の子。徐々に二人の距離は縮まり、禁断の扉を開く事になる。 耽美で官能的な描写の底にあるのは、女性美への崇拝と羞恥の表情を…続きを読む

もう使えないのに捨てられない。 そこにあの時のあなたがいるから。 そこにあの時の私がいるから。 想い出は薄れていくから、消えないように取っておく。たとえ使わなくても。 時々、…続きを読む

美しい景色や手に汗握る闘いの場面が浮かび上がり、ラストには胸を打たれました。 主人公の魔女クリスティアナは16歳。訳あって18歳年上の大貴族の伯爵に嫁ぐことに。 宿命とはいえ、嫌…続きを読む

もし感情を持つロボットが現れたら、この世はどうなるのか。誰もが一度は想像した事があるのではないでしょうか。 この物語に登場するココルは、心を持つ美少女アンドロイド(人間そっくりの…続きを読む

この作品の主人公紘一はフランスで育ち、14歳で帰国して公立中学に編入します。 14歳。同調圧力の強い日本社会でも、多感で最も排他的な年頃ではないでしょうか。 紘一は帰国子女である…続きを読む

こちらの和歌は旧仮名文語で詠まれ、「万葉集」や「古今和歌集」、「新古今和歌集」等の和歌が好きな方には、ある種懐かしみを感じながら歌の世界に入れると思います。 それらに馴染みのない…続きを読む

ヒニヨルさんの詩が好きです。 どれも長くはないのにしっかりとした世界観があり、惹き込まれます。 読み終わると心がすっと落ち着いて癒されます。 こちらの詩集のお題は「肌」 生活の中…続きを読む

「カクヨムにおける不朽の名作」と一部で称されているこの作品。読み始めてすぐに、私はかつて読んだ数々の純文学の名作を読んでいるような気分になった。 言い換えれば、読者として手加減を…続きを読む

風情ある京都の町並みや四季折々の美しい景色が目前に広がるように感じられる作品です。 雪化粧をした花街で出会った舞妓のあかね。アシスタントカメラマンの若き主人公との出会いの場面は、…続きを読む

冬の夜に浮かび上がる屋台の提灯。 ほろ酔いのお姉さんが、屋台の店主と会話を交わしている。 とにかくおでんの描写が秀逸で、立ち昇る湯気や匂い、つゆが染み込んだ具が目に浮かぶよう。 …続きを読む

これは神々が国を支配していた時代のこと。 湖の邑で生まれ育った少女ミヲは、山から降りてくるスラギに恋をする。 しかし、スラギには探し求める人がいていつかこの邑を離れねばならない。…続きを読む