偶然か必然か、出会った二人の歪な関係。どうにも破滅的な女性らしいが、語彙に妙な知性の片鱗も浮かぶアンバランスさ。正体不明な男の、完璧に見えるが明確に欠損している精神性。そんなある種、異常者同士の互いの足りないものを埋めるには、やはり普通の方法では立ち行かない。多分、わたし達が踏み込んではいけないような、独特な世界がある。どこか目をそむけたくなる妖艶な世界。どろりと濃厚な、美しくもどこか暴力すら感じる短編です。
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何もかもがうまくいかなくて、自暴自棄になっていた「あたし」には、失うものなど何もなかった。突然、目前に現れた男が「あたし」に手を差し伸べる。ある条件と交換に。果たしてそれは、救いの手か魔の手か。男に「飼われる」描写が、異質で幻想的で官能的だ。文章が水中で揺らめき、煌めくようにゆらゆらと二人の関係を捉える。耽美な世界観が好きなあなたに、ぜひ。
1つ1つの行為をばらしてみると、ただの日常。ただ、幾つもの点を歪に繋いでいった結果、恐ろしく官能的な世界になったように感じました。最高でした。
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