一人の母を照らす光と翳

女性の男を見る目というのは、その人がどんな家庭、特に父親のもとで育ったかというのに影響されやすいように思う。
どんな親のもと、どんな家庭で育つか。
いろいろあれども人並みの家庭に育った者に、そうではない家庭の暗いぬめりは分からない。

そして、そうではない者は我が子に想う。
ーわたしのようにはならないでー
それは、切実な想いだ。
完治しないかさぶたをさすりながら、一人で必死に育てる女性の手はざらざらしているかもしれない。でも、美しいのだ。

市井の人々を、秀逸な描写で鮮やかに切り取る作者様の手腕に感服いたしました。

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