五つの物に宿る魂を、繊細な感性で描いた物語

パリの蚤の市には、長い歴史を乗り越えた古道具が並んでいる。アンティークとは呼べないような、地味で、使い古され一部破損しているようなものだってある。

それらをじっと眺めていると、まるで何かを語りかけてくるようだ。
彼らが愛用され、持ち主と一心同体だったあの頃のことを。まるで人間が「一番いい時代」を語るように。

人と人が愛情を交わす瞬間、憎悪や諦観、引き裂かれるような別れ。時代の変遷にためらいつつも、モノ達はそれらを受け止めてきたのだ。

五つのモノに内包されたそれぞれの世界を、筆者様の繊細な感性と鋭い洞察力で描いた五つの物語。ぜひ、ご堪能ください。

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