Átameとはアタックメールのことではありません。スペイン語で「私を縛って」確かそんな意味。昔見たスペインのコメディ映画のタイトルでしたか。本作のヒロインの名前は深雪。清楚で少女らしさも残る素敵な女性です。新雪の雪野を目のあたりにして人は何を思うか。人の足跡で汚れていない。無垢なる。そこに踏み入り自らの足跡を残す喜びか。本作の主人公にはひとつの性癖があります。「俺はとにかく巨乳が好きでさあ」まあ言える。「とにかく乳輪がでかくないとダメなんだ!」審議。「匂いだよね!臭い女性が好きなんだ!とにかく鼻が曲がるくらい臭い人がいいな」オブジェクション。「好きな下着?そりゃ使い古した下着1択!」私大丈夫ですか?主人公の性癖はバイト先や学校では可のように言い難く。ヒロインとの関係性が恋愛へと進行する中で顕著になります。それは手探りで。青春で。美しい言葉を探して。我が身欲望と性癖に頭をしばかれ。「それでも君を」心と肉体。ここが上手く描かれています。彼女が主人公の心や黝き欲望後ろめたさによりそう言葉。「私を縛ってください」普遍的な恋愛。恋人たちや夫婦が歩む道。その扉が開く瞬間。手を繋ぎ。二人にしかわからない。そんな世界へ向かう二人。ここで作者自身が描く性癖や性的嗜好。読者の方の感想への御返信まで読みたくなるのです。知りたくなるのです。これが作家性というものです。エロスとは何か?それは読み手と書き手の中での共感覚。その中で「これいいんですか?」「私はこれを美しいと感じております」エロスとは後ろめたさや背徳感の共有なのでは。そんな風に思うのです。それを見つけてしまった作者と目の当たりにした読者の関係は主人公とヒロインのそれにも似ていて。プレイ動画のような単なる行為の描写やお決まりの台詞・・であれば私はレビューも書かないし。「私とは趣味嗜好が違う」で片づけているところです。ここに描かれた男女の機微や感情と肉体が軋み悦びをあげる特別な瞬間。これこそが書かれるべきもの。そして価値ある作品だと思うのです。よくぞここ迄。よくぞ書いて下さいました。心より賛辞を!素晴らしい作家さんです。この青春の千千に乱れる。愛と、優しさと、愛おしさ、肉体と、背徳とエロスを、美しい文字と表現の字縄で!見事な縛りです!
嫉妬しすぎてしまい、自分自身を焼き尽くしてしまいそうです。
なんという、甘く愛らしく官能的なストーリー。
日頃より作者様の文体やお人柄をまぶしく感じておりましたが、このような素敵な恋物語を綴られてしまった日には、地団太を踏んで、転げ回って、歯ぎしりをして、ふて寝してしまいたい・・・でも眠れない・・・
それほど心に刺激を受けておりました。
“「縛られた女性」を美しいと思ってしまう。”
そう仰る主人公のなんと率直な、素直な思いでしょうか。
「縛られた女性」・・・個人的には馴染みのない存在でしたが、そう耳にしてみると、たしかに心ふるわせられる光景に違いないことでしょう。
こちらのヒロイン女性、縛られていなくとも美しい方とお見受けしますが・・・
そんなひとが縛られた姿を想像するなら、なるほど、心に高揚を覚えてしまうのです。
可憐な女性が縛られ、自由を奪われた姿を晒すのならば、エロスの女神そのもののお姿であることでしょう。
このひとになら、縛られてもいい・・・
このひとになら、すべてを委ねられる・・・
女神の心情が伝わってきます。深い信頼でつながったふたりだからこその、縄とは愛を高めるためのアイテムなのですね。
美しさと愛おしさしかない、愛の場面・・・ため息ものです。
大人のエロス、堪能させていただきました!