百舌すえひろ

文章が優しい語り口です。
気遣いを感じさせつつ、素直な所感を語られる様が、安心して読み進められます。まっとうで安定した文章(しかも面白い)が読めて嬉しかったです。

紀元前四世紀のシチリア島の出来事を書いた『ダモンとピュティオス』という話が出典です。 太宰氏がこの友情物語を書いた背景には、檀一雄氏を熱海の旅館に自分の身代わりで置いてきた話があ…続きを読む

前半の感想は｢ヒェ～ッ！伯父さんやりたい放題じゃないか。親戚一同かわいそう…いやー大変だな～｣と思いながら、｢その伯父さんからどんなムチャブリされたの？ホレホレ｣と先が気になって読…続きを読む

孔子に師事し、終生忠誠を誓った弟子、子路についてのお話です。 孔子が仕官先を求めて諸国を移動してる中間までは、ロードムービーを観ているような描写でした。(『イージー・ライダー』みた…続きを読む

作者さんが物を書くことに真摯に取り組まれているのが、ひしひしと伝わる文章です。 自分の想いをきっちり表出させることに余念がない。 「本当に良い作品と人に受ける作品は一致しない」とい…続きを読む

自分が思っていたことを代弁してくれたような内容でした。（口に出さずとも、大勢が思ってることなのかも知れないですが） 笑いをとれなくても、飾りなく語ってくれる文章が人の心を救うことが…続きを読む

硫黄島の話が出てきたあたりから、先が気になりだして読了してました。

『山月記』のその後についてのお話。
原典の『人虎伝』や本編では言及されてなかったけれど、言われてみたら確かにな……って納得する箇所がありました。

聴くっショ！で見つけて、検索したらカクヨムでも上げられていたので、こちらに評価をさせていただきました。
淡々と読みやすい描写に、オチもきれいにつけられていて、とても好みでした。

中島敦の文章に惹かれる人は、この文体に魅力を感じるかもしれないです。 私には漢籍の知識がないので、このお話が完全な創作なのか、出典があるものなのかわかりません。 ですが歴史を感じさ…続きを読む

それっぽいけど、そうじゃなかった(笑) 見たことない記号や文字を見ると「どんな意味なんだろう」と追求したくなります。 文字のない時代から、人間は自分の体験や思いを他者と共有したい…続きを読む

信頼を獲得した後に、じわじわと崩壊に導く陰湿な手法。 常々思っているのですが、権力を持つ人間に信用されて侍る人は、その権力者が弱った頃を見計らえば、いかようにもできる立場ですよね…続きを読む

丁寧な描写です。まるで現地にいて、見てきたかのような情景です。
自分の前世を思い出したからといって、知識が増えたとか、何かに優位に働くとかじゃないところが良いと思いました。

題名は『虎狩』ですが朝鮮で過していた中学時代のエッセイで、中島氏の学友、趙君との思い出です。 話の主体は、当時の朝鮮人の同級生が置かれた微妙な立場や、学内での上下関係における理不…続きを読む

主な登場人物は以下の三人です。 ・題名になった前漢時代の将軍・李陵。 ・『史記』の編纂者・司馬遷。 ・敵に囚われて壮絶な抑留生活を強いられた蘇武。 中国の歴史に詳しくないので、司…続きを読む

有名な西遊記のキャラクターたちを、ここまで人間臭く身近に感じられる像に落とし込んで描かれたのか、と驚きました。 万物の天才の孫悟空。 あらゆる楽しみを見つける名人・猪八戒。 大きな…続きを読む

ラッセルの『幸福論』の内容を彷彿とさせる話でした。哲学的と言いますか。 この世界における自分という存在の意味や、存在するすべてのものの意義、真実を突き詰めようとあがく沙悟浄の鬱々と…続きを読む

この一文に、ハートを射抜かれました(笑) 吹き出さずにはいられない、ハイテンション筋肉野郎（失礼、淑女ですね）のシンデレラ。 話の筋が最初から読めても「これだよ、これこれ！　こんな…続きを読む

えらく注文の多い『料理店』。
料理は料理でもそっちの意味かと、初めて読んだ時は驚きました。

民衆から強大な支持を得て、日々輝きを増していくイエス。 すべてを投げ捨て、弟子として付き従っていた男。 憧れ、尊敬、崇拝、違和感、疑念、嫉妬、軽蔑、怒り―― 偉大な言動をするイ…続きを読む

絵師の業は、親子の情すら凌駕する―― 最上の絵を創るためにリアリティを追求し、絵の為ならば非常になれる人間性から、世間に批難される絵師良秀。 行き過ぎた探究心は、ついに己の愛娘…続きを読む

何かをするときの言い訳はいくらでも出る。 やらない言い訳も同じくらい出る。 悪だの善だの、誰の視点で決めるのだろう。 「生きてくためだ」と言われてしまったら、それ以上に良い方法を…続きを読む

求められて存在できる人は幸せだ。 自分の持っているモノで勝負できる人は幸せだ。 先天的でも後天的でも、獲得した能力が他者に歓迎される人は幸いである。 どんな才能も環境に適応でき…続きを読む

『隴西(ろうせい)の李徴(りちょう)は博学才頴(はくがくさいえい)……』声に出して読んでみてください。冒頭から名文です。 中国が舞台なので、地名も人名も見馴れない漢字尽くしで、読み…続きを読む

サクサク進んでいくので、ストレスなく読めて良かったです。 必要な情報や描写をポンポンと出してくれるので、話が追いやすい。 ホラーの根幹に「母と娘の愛憎（確執）」を持って来ているのが…続きを読む

『ダイバーシティ』だの『多様性の尊重』だの言われる現代社会ですが、それぞれの立場から見る問題点が軽妙に語られて面白かったです。 現実に則したブラックユーモアが好きなので、ツボでした…続きを読む

子供の返しがいちいち田原総一朗で笑えました。
肩肘張らずに読める、面白いお話です。

どんなに良質な話があっても、読む人間に読書経験がなければその良さに気付けないことがあるなと思います。 ここに上げてもらった書籍のほとんどを、私はまだ目にしたことがありません。 です…続きを読む

日常風景から徐々に異常さが忍び寄り、ぞわぞわしてたものが後半で一気に暴れ出す。 最後にどう片を付けるのか気になってました。 作業者の感覚、細部にいたる情景描写。 村田基さんの作風を…続きを読む

アップルパイの描写とこだわりの食べ方を目で追っていたら、作りたくなってきました。 夏目漱石が提示していた“I Love You”の意訳を、語り手にも書かせることで、話者の感性の若さ…続きを読む