総題「わが西遊記」の一篇。
何年かぶりだろうか。ことによると何十年ぶりかもしれない。
当時私は二十代だったようにおもうが、初め読んだとき、さまでおもしろいともおもえず、看過してしまっていた。今のいままで。
再読し、非常におもしろいとおもった。文章のベースは中島家伝来の漢文であり、内容としては西遊記を材とし、東洋思想ーーというか中国伝来の思想をベースとする。さりながら、骨組み、中身を成すものとしては西洋の思想、文学がある。やり方としては、すでに芥川龍之介があるけれど、ある意味芥川龍之介を越えているのではないか。それを歪さと感ずる方もいるだろうけれど。
中島敦はゲーテをよく読んでいたようだが、なるほどゲーテを彷彿とさせる部分がある。
私は空海の若きころの著作を連想しもしたが。
相変わらずうまい。美しい描写。迫力のある場面。諧謔。快い読後感。
中島敦、ほんますごい。
ラッセルの『幸福論』の内容を彷彿とさせる話でした。哲学的と言いますか。
この世界における自分という存在の意味や、存在するすべてのものの意義、真実を突き詰めようとあがく沙悟浄の鬱々とした姿に親しみを感じました。
彼ほど真剣に向き合って考えることはありませんが、こういう悩みは本気で向き合うほど答えが得られないような気がします。
こういう時、師匠とか宗教ではなく「悩む前に、とりあえずやりたいことやっとけよ」と声をかけてくれる友人がそばにいれば、救われるのではないのかなと思いました。
物語の最後で『無智無識だが信じて動く悟空は、お前にとって大きな刺激になるぞ』という助言が与えられたことは大きな救いだと思いました。
続きの話があるので、悟空、八戒、三蔵の三人と合流した悟浄の変化が楽しみです。
面白かった!
最初、初手から暗号のような一文で、アララ読むのやめようかななんて思っちゃったけれど、面白かったです。
冒頭が一番とっつきにくくて、読み進めれば進めるほどに、現代文っぽい読みやすい文体になっていった気がしました。(個人的感想
今こうしてレビューを書いていますが、全部理解して読めたわけでもなく、分からない所は若干そのままで後で調べようと読み進めた所もあり。
それでも読み終わってみれば、筆者が言いたかったおおまかな流れは感じ取れたのではないかなと思います。
ちょいちょいとばしちゃう単語や文言があっても、結構読めちゃうと思うので、分からない所でたら飛ばして取り敢えず最後まで一読がオススメです。
……お色気Maxな爆乳肉欲仙女が突然出てきて、思わず吹きました(´▽`)