概要
私は虎狩の話をしようと思う。
朝鮮半島での、子ども時代の記憶。出身国は違えど、友情を築いた相手との思い出、そして別れ。角川文庫『文字禍・牛人』所収。(※キャッチコピーは本文抜粋)
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!私小説
十代から二十代にかけての一時期、中島敦の作品は毎日読んでいた。
主に薄い文庫本一冊ではあったが、全集をもとめ、全作品に目を通してある。
そのなかで、当時本作が好きだった。と思いながら、一度読んだのみで読み返してなかったように思うが、何年ぶりか、いや、何十年ぶりかに読み返してみて。
やはり、好きな作品だった。
私小説ではあるが、どこまで事実によるものであるのか。ことによると、嘘が混じっているのかもしれぬ。
消えた友人の魅力的なことといったら。
本作は応募し、採用されなかったものらしいが、たしかにその時代の私小説とは異にする理知的な、思索的な、湿り気のない本作が選ばれなかったのはやむなしかもしれ…続きを読む