「息」を含む小説

魔女と呼ばれる少女エレクトラと、その弟アルベール。 村人から忌避され、息をひそめるようにして暮らす二人にとって、屋敷の裏庭は唯一の安息の場所だった。 世界がここだけだったらよかっ…

山の中に置き去りにされた小犬は、飼い主が迎えに来ることを信じたまま、息絶えました。 春が来て、大きな木の一枚の葉に生まれ変わっても、まだ、小犬は飼い主が迎えに来てくれると信じ続…

“ルニ”はね、ママからのものでね、“ア”は僕から来てるんだよ ……忘れないでね、君は僕達から望まれた――愛しい愛しい娘なんだ

　付き合って5年半、半同棲しているものの絶賛マンネリ中の西浜景と北丘恵。二人はこのまま結婚に向けて動くのか、それとも別れを選ぶのか。

　小さい頃から運動が苦手だった、水谷秀哉（みずたにしゅうや）には、音楽の才能があり、彼は幼い頃から、ピアノ演奏や作曲が上手であった。そんな彼、秀哉は、中学時代にマンドリン音楽と出…

　目覚めたら密室だった。窓もドアもない。通気孔すらない。ボーッと考えていると、段々と息が苦しいような気がする。 　急いで脱出せねばならない！ 　これはモニタリングしていると思われ…

　松本翔太は中学一年生。両親の離婚以来、何ごとにも消極的で夢中になれるものもなく、ヘタレな自分に嫌気を覚えていた。 　ある日、学校に地域学習の一つとして里神楽保存会の公演が行われ…

あの嵐の中で死に絶えたものたち 風雨に遮られかき消された悲痛な叫び 現世で語られなかった怒りと熱情 コンクリートのビルが立ち並び 交差点をすれ違う顔のない人々の群れ 僕らは…

「息をするように人を斬る」 刺客の子として生まれた平山小弥太は、父と共に殺しの旅に出た。 念真流という一族の秘奥を武器に、行く先々で人を斬って生き血を浴び、獣性を増しながら刺客と…

謎の病で瞬く間に滅んでしまった人間社会。 感染者は「屍畜」と呼ばれる人の肉を食らう化け物となり、わずかに生き残った人間の脅威となっていた。 歴史の闇に息をひそめていた吸血鬼たちは…

パチンコと煙草と死にたい話。

老人の家に訪問介護に行っていた時に見た幽霊の実話です。

私は時代劇の撮影で京都の長期ロケに入った。撮影は順調に進んだが、恐怖は宿泊先の宿で待っていた。

綺麗にラッピングした綺麗だけじゃない感情。空気で冷えた甘さを、少しだけ重たく感じた。 どこにでもありそうなどうしようもない片想い。だけどこれは、ここにしかない気持ちの結晶。

私達の日常生活は、楽しくも残酷で、傷がどれほど酷くとも気づかないことがある。そんな世界を生きる「私」が、周りの人の毒に耐えながら生きるお話。

五世紀の末——海中の地『倭』には、五つの人間国から成る連合王国が存在した。 同時に、人外の領域では、八百万の神々や在来の妖怪が滅びの危機に瀕していた。 表向き、五王国は交替で大…

南の孤島『極神島』に単身潜り込み、巨大組織に無謀な戦いを挑む探偵『ＥＭＡ』 銃で撃たれ、背中に焼き印を打たれ、傷だらけになりながらも、着実に悪の巨大組織を追い込んでいく壮大なバト…

植物男子 名前))酸漿 律【ほおずき りつ】 年齢))17歳 病気))名称不明『本人命名：植物病』 特徴))身体からツル科の植物が生えてくる病気。切っても切っても生えてくる。終い…

随時掌編を載せて参ります。

　僕は確かに彼女に――17歳も年下の、三週間後には地球を捨てて新惑星への旅に出る17歳の少女に、惹かれていた。 　そして僕は、臆病だった。僕は彼女のような、往復30年の宇宙旅行に…