狼の裔~念真流血風譚~

作者 筑前筑後

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★★★ Excellent!!!

まずは第一部を読みました。
時代物としても剣術物としても面白かったのですが、この話の本質はやはり父を見る子の話と思います。

子があまり多くを語らない父の行動を見て、なぜそうしたのか、自分もそうしなければならないのか、そうなりたいのか、ならなければならないのか、などなど葛藤するところに引き込まれました。

私の父は温厚かつあまり私に何かを課することがなかった人なので、平山清記のような父が欲しいなと思ったこともあります。そうすればもう少し緊張感のある生活の中で、自分も成長できるのではないかな、というような。この話ではそうした父性に憧憬を感じつつ読むことができたので、個人的にはとても楽しめました。

ストーリー的には、お気に入りは二章です。様々な人の思惑がそれぞれあって、目的が同じなのにそこに行き着く動機や行動が違うのがよかったですね。

少し間を置くことになるかもしれませんが、第二部以降も読みたいです。雷蔵になった小弥太がどうなるのか、今から楽しみです。

★★★ Excellent!!!

かつてアルファポリスの歴史・時代小説大賞で特別賞を受賞した快作が完全版として更にパワーアップしました!

とにかくカッコいい時代劇を読みたい方にオススメ!
一見すると虚無的な少年剣士と、その父親が、藩に仇なす者どもを討っていく刺客行脚の物語としてスタートしますが、第一章ではまだ少年の内面は明かされず、章が進むにつれてだんだん深く掘り下げられていきます。
討たれる側にもしっかりとした動機や信念、ドラマがあり、単なる勧善懲悪ではありません。
本作で一本筋が通っている裏テーマは「武士の義務と矜持」。その刀は民を守るために戦うためのものであろうという事、その代償として禄を得ているのだという事が行間から読み取れます。
ぜひ一度ごらんください!

★★★ Excellent!!!

 余分なものがそぎ落とされた文章は、まさに剣の道を歩んでいた主人公たちを思わせる。さらに、時代考証に裏打ちされた現実味がある。そんな中で、主人公の少年の心の動きがつぶさに表現され、感情移入しやすい。父親とその息子である少年の対比も見事でした。
 小生は時代物をあまり読まないのだが、ここでこうしてこの物語に出会えてよかったと思います。