概要
これは僕が、新惑星へ旅立った彼女と再会するまでの話
僕は確かに彼女に――17歳も年下の、三週間後には地球を捨てて新惑星への旅に出る17歳の少女に、惹かれていた。
そして僕は、臆病だった。僕は彼女のような、往復30年の宇宙旅行に耐えられる丈夫な体も持っていない。
だから僕は、彼女の告白を拒んだ。どうせ地球に還ってきた彼女は、老いた僕など歯牙にもかけないのだから、と自分に言い訳をして。
彼女はいつも、家族の形見であるライカ・カメラを提げていた。初めて彼女と出逢ったとき、僕は「そのカメラの名は、地球の衛星軌道で孤独に死んだ犬の名前からとったのだ」と嘘をついた。そのカメラは彼女の家族の遺品であったのに。
その報いか、彼女は地球に還ってこなかった。新惑星へと向かう途中の宇宙で、息絶えたのだ。彼女は僕の嘘をなぞるように新惑星の大気圏で燃え尽
そして僕は、臆病だった。僕は彼女のような、往復30年の宇宙旅行に耐えられる丈夫な体も持っていない。
だから僕は、彼女の告白を拒んだ。どうせ地球に還ってきた彼女は、老いた僕など歯牙にもかけないのだから、と自分に言い訳をして。
彼女はいつも、家族の形見であるライカ・カメラを提げていた。初めて彼女と出逢ったとき、僕は「そのカメラの名は、地球の衛星軌道で孤独に死んだ犬の名前からとったのだ」と嘘をついた。そのカメラは彼女の家族の遺品であったのに。
その報いか、彼女は地球に還ってこなかった。新惑星へと向かう途中の宇宙で、息絶えたのだ。彼女は僕の嘘をなぞるように新惑星の大気圏で燃え尽
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- ★★★ Excellent!!!色鮮やかで心躍るストーリー
『さよなら、ライカ』は全5話+最終話の編成になっていますが、序盤から最後までこれでもか!というぐらいに様々なSFガジェットが出てきます。SFの王道的な構成をとっている回もあれば、うわ!やられた!と唸ってしまうものもあります。それだけではなく『さよなら、ライカ』のすごいなと感じたところは、ストーリーの繋がりも上手くてついつい引き込まれるような続きが気になるようになっています。SFが好きな人なら絶対に楽しめるし、10万文字程度の読みやすい長さというのもあり普段SFを読まない人にとっては文学的な楽しみ方が出来、良いSFの入口になるんじゃなかなと思いました。とにかく自分にとっては出てくる要素全部が心…続きを読む