胸に静かに火を点す序盤──⋯
会員制サロンの緊張と
商店街・純喫茶の温度差が
まるで対位法のように響き
物語は
「声を持たない者が光へ向かう」テーマを
都市のざわめきと生活の匂いで
丁寧に立ち上げます。
人物は〝抑揚を学ぶ〟少女のまっすぐさと
現実的で苛烈な世界の手触りが同時に描かれ
台詞の節度と格闘描写の合理性が
キャラの倫理を裏打ちしてくれます。
改変史的な舞台や固有名の精度も高く
読者の視覚と聴覚を強く刺激します。
特筆すべきは「大切な話は喫茶店で」という
小さな日常ルールが
やがて心の支えへ変わっていく仕掛け。
痛みを抱えながらも
怒りと優しさを正面から言語化する姿が
頁を閉じた後も長く余韻を残します⋯⋯
緩急の配分が巧みで
これから〝光になる〟過程を
見届けたくなる序章からの開幕です!
何気なく読み始めました。すると冒頭から緊迫感あるシーンと圧巻の描写力に、まず胸倉をガッと掴まれました。
そしてそこからは全30話を一気読みです。許されるなら3個だけなんていわず、★300ぐらい付けたい。それくらいこの物語に引き込まれて、主人公である詩乃たちの活躍を手に汗握って応援していました。
コメディ混じりの日常と、生き死にを賭けた非日常の緩急が読む手を止めさせません。しかし主人公の詩乃が命を賭ける理由は、そのありふれた“日常”のためにあるのです。
詩乃と関わりある玲子や蒼司との会話はおかしみがあって、読んでいてつい笑ってしまうシーンもあるのですが、それだけにこの微笑ましい日常に背後から侵入してくる“非日常”のシリアスさ・怖さが際立ちます。実際、この“非日常”をもたらす悪役たちは相当に巨悪な上、頭も切れるためにおいそれと退治・一掃されません。ここもまた、読んでいてジリジリしますのでもう読む手が止まらない(まぁ並の相手は詩乃ちゃんの手で秒殺ですが……)。
キレのある会話、一筋縄ではいかない勧善懲悪ストーリー、善悪を問わず描かれる人物たちの心理描写。そしてそれらの世界観が成立しているのは、土台である作者様の地の文に一切の揺らぎがないからに他なりません。この物語を誰よりも信頼しているのは、作者であるひられん様であることが読み手にも伝わります。
しかしそれは主人公たちを甘やかしたり贔屓したりするわけではなく、いい意味での突き放しも含んでいます。きっとだからこそ、詩乃という一人の少女の必死さや葛藤がより伝わってくる。玲子や蒼司、敵の城戸にしてもそうですが、各人物たちの喜怒哀楽の感情にまで作者は干渉しない。そうした点からも、総じてハイレベルな小説だと思います。
確かに、(いい意味でも悪い意味でも)より軽量化が進むWeb小説・ライトノベル方面においてのメインストリームジャンルではないかもしれませんが、昨今は松本清張賞やメフィスト賞などからも「ライト文芸」の傑作が生まれています。決してそう言い切ることはできませんが、個人的には本作もその系譜にあるように感じられました。あくまで一個人の感想のため、お気を悪くされたのであればどうかお許しください。
恐ろしく長文となってしまい恐縮ですが、やはりこの一言も最後に添えたいです。
皆様是非ともお読みください、本当にオススメの一作です!
PS:『ザ・ファブル(1部)』や『シャングリ・ラ(池上永一)』、『マルドゥックスクランブル(冲方丁)』が好きな方にも刺さるかと思います!
まだ途中までの読了ですが、この時点でとても惹かれる作品だと感じたのでレビューを残します。
商店街や学校といった身近な日常の描写がしっかりしていて、その中に少しずつ不穏な影が差し込んでくる構成が絶妙です。
特に主人公・詩乃のキャラクターが印象的で、普段は普通の少女として過ごしているのに、いざという場面で迷いなく踏み込む姿に強さと危うさが同居していて目を引きます。
「子どもを巡る闇」と「日常を守りたい気持ち」が物語の両輪になっていて、そこに彼女自身の成長や揺れが自然に絡んでいくのが面白いです。
まだ序盤ですが、先の展開がとても気になる作品です。
緻密なリアリティで構築されたサスペンス・アクション。
人身売買や臓器密売といった闇社会の生々しいディテールが、作中に散りばめられた専門的な用語や手口とともに描かれます。そのリアルさはフレーバーにとどまらず、登場人物の行動原理や決断に重みを与え、物語全体を“ありえる現実”に引き寄せています。
そして中心にいるのは「白い子羊」=少女たち。兵器のように扱われながらも、友情や痛み、喜びを確かに感じ取ってしまう彼女たちの姿に胸が締め付けられます。
壮絶な銃撃戦や諜報戦を経てたどり着く結末は、ただの勧善懲悪ではなく“人としてどう生きるか”という問いかけに満ちています。
リアルな描写に緊張しながらも、読み終えた後には確かなカタルシスが残る一作でした。
本当に良かった。書籍化やドラマ化、映画化すべきと思ってしまうレベルで素晴らしい作品でした。
初っ端から洋画を思わせるような展開の数々。日常と非日常の描写。キャラ同士の掛け合い。そしてストーリー。
どれをとっても文句の付け所がなく、私の心を夢中にさせました。
今こうしてレビューを書く手も、余韻で震えてしまっている始末です。
あまりネタバレは嫌いなので、詳細は記しません。ぜひ、この作品を読んで、主人公の奮闘を知ってほしいと思っています。
そして彼女の幸せを、共に祈ろうではありませんか。
最後に一つだけ、この素晴らしい物語を書いてくれた作者さんに感謝を。
本当に面白く、最後まで夢中になって読むことができました。
臓器売買、人身売買、政治の腐敗――そんな生々しく重たい社会の裏側。
けれど、そのど真ん中で光を失わず、必死に“普通”を求めてあがく少女・詩乃の姿が、胸に焼きつきました。
過去に囚われ、感情を閉ざしたまま生きてきた詩乃が、蒼司という存在に出会い、ほんの少しずつ、「人を信じてみたい」と思い始める。
その過程が、とても丁寧に、リアルに描かれていて、読んでいるこちらも心が揺さぶられました。
一方で、銃声が響き、命が散り、真実が暴かれる世界。
スリルと哀しみのバランスが絶妙で、ページをめくる手が止まりませんでした。
かつて人間兵器として戦いの中に身を置いてきた過去を持つ主人公。時代は変わり、恩師から人として生きることの尊さを学んだ彼女は、日常生活の中で培った人間らしい心を失いたくないと願う一方で、その恩師を討った仇敵を葬らねばという復讐心をたぎらせます。この内心の葛藤が八万字弱の物語の中に色濃く表れていて、果たして少女はどちらの道に転ぶのかとハラハラドキドキしながら読み進めていました。
特に戦闘シーンは手に汗握るほどに臨場感があって見応えがあります。迫力ある殺陣の描写と、それを際立たせる個性映えしたキャラたちの軽やかなやり取りは、作家を志す者にとって学ぶべきところが多いです。
次に読むものに迷っている方はぜひ高妙な文体で綴られた非日常の世界に足を運んでみてはいかがでしょうか?
カクヨムに来て二年。様々な作品を目にして来ましたが、本当に「これはすごい!」と唸りたくなるような作品は、まだ、片手で数えられるくらいでしょうか。
これは、その中にいれてもいい傑作だと思います。
カクヨムで人気の異世界も出て来なければ転生も転移もしない。ダンジョンにも潜らなければ、スライムもゴブリンも魔王も一切出て来ません。配信もしない。舞台は完全に現代(近未来)の東京で、魔法も使えないある女子高校生、男子高校生たちの物語。しかし、次々に起こる非日常の出来事の数々は下手なファンタジーでは太刀打ち出来ない程、読者の私達をワクワクさせてくれます。是非読んでみて下さい。