"兵器"として生きた少女が、"人間"として生き直そうとする物語
- ★★★ Excellent!!!
臓器売買、人身売買、政治の腐敗――そんな生々しく重たい社会の裏側。
けれど、そのど真ん中で光を失わず、必死に“普通”を求めてあがく少女・詩乃の姿が、胸に焼きつきました。
過去に囚われ、感情を閉ざしたまま生きてきた詩乃が、蒼司という存在に出会い、ほんの少しずつ、「人を信じてみたい」と思い始める。
その過程が、とても丁寧に、リアルに描かれていて、読んでいるこちらも心が揺さぶられました。
一方で、銃声が響き、命が散り、真実が暴かれる世界。
スリルと哀しみのバランスが絶妙で、ページをめくる手が止まりませんでした。