"兵器"として生きた少女が、"人間"として生き直そうとする物語

臓器売買、人身売買、政治の腐敗――そんな生々しく重たい社会の裏側。

けれど、そのど真ん中で光を失わず、必死に“普通”を求めてあがく少女・詩乃の姿が、胸に焼きつきました。

過去に囚われ、感情を閉ざしたまま生きてきた詩乃が、蒼司という存在に出会い、ほんの少しずつ、「人を信じてみたい」と思い始める。

その過程が、とても丁寧に、リアルに描かれていて、読んでいるこちらも心が揺さぶられました。

一方で、銃声が響き、命が散り、真実が暴かれる世界。


スリルと哀しみのバランスが絶妙で、ページをめくる手が止まりませんでした。

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