主人公であるバツイチのおじさんの、等身大で不器用で、どこか愛おしい“推し活”の姿がとても魅力的です。
推しのアイドルが自分だけに向けてくれる笑顔に救われ、励まされ、元気をもらい……しかし人気が出るほど、手が届かなくなっていく寂しさも抱えてしまう。
その複雑な感情が丁寧に描かれていて、思わず胸がきゅっとなります。
アイドルの成長に喜びつつも、遠ざかる距離に不安や孤独を感じる――誰しも抱える感情を、やさしい筆致で描ききっていて素晴らしいです。
握手会という小さな時間の積み重ねから、主人公の人生観までじんわり変わっていくのが本当に味わい深く、読後にはじんわり温かい気持ちが残りました。
離婚をきっかけに、ひとりの“平凡なおじさん”がアイドル握手会の世界に足を踏み入れる。
最初はただの気分転換だったはずが、気づけば人生そのものがキラキラと光を取り戻していく──そんな“再生の物語”です。
加藤さんの作品は、いつも温かくて楽しくて元気が貰えます。
ここで言うのもなんですが(笑)、本当にいつもありがとうございます。
握手会の描写は臨場感たっぷりで、初参戦のド緊張、推しとの数秒間の会話の尊さ、そして“推しが遠くなっていく寂しさ”までも丁寧に描かれています。
登場する“バツいち男性”は決して特別な人ではありません。
その不器用で真っ直ぐな姿勢に、気づけばこちらまで笑顔になる。
そう、推しの成長を見守る彼の眼差しには、人生の希望が宿っています。
アイドルに興味がなくても大丈夫。
これは、誰かを一生懸命に応援することの素晴らしさを教えてくれる物語です。
読後にはきっと、あなたも笑って、「よし、明日も頑張るか」と思えるはずです♪
アイドルの握手会に赴く方の心情や状況、会場の様子を記した作品です。
作者である加藤祐一さんの心の動きが赤裸々に吐露されています(※創作部分もあるそうです)
現在はまだ読了出来ていないのですが、読んだ文中には多幸感が溢れていました。
読む者にもこれほど楽しさが伝わるエンターテイメントは、なかなかないと思わされています。
知らない人物が知らない事柄にのめり込む様子を読む。
不思議とそのなにも知らない状況でも面白く読める。
それはきっと、文章の熱量が高いからではないでしょうか。
内容に関わらず、文章の巧拙を越えて読ませるさんの文章には、とりもなおさず高い熱量があるものです。
一事に没頭する人の心情が、良く表された作品です。
ぜひ御一読ください。