緊張感あふれる展開と、人間の本質を問う深いテーマが融合した作品

地方都市で続く神隠しという不穏な事件から幕を開け、孤独に真実と向き合ってきた華実、そして彼女の前に現れる謎めいた少女・真夏。

その出会いが“世界の運命を左右する”という予感に満ちており、読者を一気に物語に引き込みます。


とくに「地球防衛部」は、単なる部活動ではなく、さまざまな脅威や侵略にまで立ち向かう集団として描かれているのが魅力的です。

初代メンバーたちが、何を守り、何と戦うのか――その行動ひとつひとつから、彼らの信念や弱さ、葛藤が鮮明に伝わってきます。


敵味方の境界は曖昧であり、時に“正義”と呼ばれるものが残酷さと隣り合わせであることを静かに示しています。

そのため読後も余韻が強く、登場人物たちの選択の是非を思わず考え続けてしまいます。

学園ファンタジーや超常バトルが好きな読者だけでなく、“物語によって自分の価値観が揺さぶられる”体験を求める人にも強くおすすめできる一作です。

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