植物男子と鉱石男子の日常

幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕

プロローグ

第1話【奇病男子の日記】

──今日から、日記を書くことにした──


一日目))

『…………今日から日記を書くことにした。

ボクの、不思議な病のこととか、色々…書こうと思う。

ココでの呼び方は……ボク、って呼んで。名前は言いたくないから……

唐突に──ボクの体には、草がある。

いや……草が、生えてる。見たところ、ツル科の植物だと思う…』


それは、淡々と綴られていた。


『……何で、生えてきたのかは知らない…医者に訊いたら……【名称不明の病だ】って…言われた。いつ死ぬか、分からないとも。』


死への恐怖が、無いようにも見えた。

けれど、違った。


『……………なんで?』


…………え?


『なんで、ボク…だったの? ボクはいい子にしてた、約束も守ったし、手伝いもした、なのに……どうして? ……………………怖いよ、ボクはまだ…死にたくないよ………ッ!』


それは──とても、途轍もない程自己嫌悪に塗れた文章だった。


『ねぇ……誰か、助けてよ………………』


……一日目の日記はそれで終わっていた。











──……お前は、いつもそうやって隠してたんだな…………他でも無い、俺の為に、自分の為に、ずっと……









……………………………奇病持ち、そう言われても……死ぬのには、早すぎるぜ………






──これは奇病【本人命名:植物病】患者である、酸漿律ほおずきりつと奇病【鉱石病リガートル】患者である俺、石槻蓮莵いしづきれとが出逢った話である──

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