概要
古代日本を巡る、人間と物の怪達の興亡譚【古代伝奇・歴史幻想】
五世紀の末——海中の地『倭』には、五つの人間国から成る連合王国が存在した。
同時に、人外の領域では、八百万の神々や在来の妖怪が滅びの危機に瀕していた。
表向き、五王国は交替で大王《おおきみ》を輩出し、全土を治める習わしだったが、実質は、独裁的な祭祀者『媛帝』の傀儡に過ぎなかった。神に仕える巫女として五王国に号令する媛帝は、政を司る国の守護者であると同時に、姫道《きどう》と呼ばれる神秘的な力を背景に圧政を敷き、五つの国の民を嘆き悲しませる暴君でもあった。
一方、古えより倭に自生する土着の精霊や物の怪たちは、深山幽谷に追いやられ、息を潜めて暮らしている。百数十年前、半島より渡来した外妖一族の暗躍により、滅亡の危機に瀕していたのである。まだ、五王国の人間たちは知らなかったが、外妖どもの台頭の背
同時に、人外の領域では、八百万の神々や在来の妖怪が滅びの危機に瀕していた。
表向き、五王国は交替で大王《おおきみ》を輩出し、全土を治める習わしだったが、実質は、独裁的な祭祀者『媛帝』の傀儡に過ぎなかった。神に仕える巫女として五王国に号令する媛帝は、政を司る国の守護者であると同時に、姫道《きどう》と呼ばれる神秘的な力を背景に圧政を敷き、五つの国の民を嘆き悲しませる暴君でもあった。
一方、古えより倭に自生する土着の精霊や物の怪たちは、深山幽谷に追いやられ、息を潜めて暮らしている。百数十年前、半島より渡来した外妖一族の暗躍により、滅亡の危機に瀕していたのである。まだ、五王国の人間たちは知らなかったが、外妖どもの台頭の背