「藤 短編」を含む小説

　ゲーム好きな高校一年生、『柊 優衣（ひいらぎ ゆい）』。彼女の通う名門女子校には同じ趣味を持つ生徒がおらず、優衣は友達を作れない寂しい毎日を送っていた。 　そんなとき、両親から…

まだ、この国の京が平城の地にあった時代。同じ名と夢を抱く二人の青年がいた。一人は遣唐使として有名な阿倍仲麻呂。もう一人は政治家・反乱者として名を馳せる藤原仲麻呂である。…

五月――。 俺が入学した高校の藤棚には、藤の花とともに百合が咲いている。 百合大好きな俺はこっそり盗み見るのが日課になっていたのだけど、見つかってしまい……。

『源氏物語』の近江の君を語り部とした短編です。『源氏』の魅力については、この物語を愛する読者それぞれに意見があると思いますが、私が感じる『源氏』の魅力のひとつは、藤壺の宮や紫の上…

うだつのあがらない日々を過ごすサラリーマン藤咲の元に、身元不明の家出少年が転がり込んできたことから始まる三日間。ヒーローとは何か、誰のヒーローなのか。短編です。

浅草一体を取り仕切る目明かし大親分、藤五郎。 町内の民草はもちろん、十手持ちの役人ですら道を開けて頭をさげようかという男だ。 そんな男の二つ名は、鈍牛。 鈍く光る角をたたえた…

閑古鳥が鳴く探偵事務所。 そんな探偵・志賀野と助手の渉太の元へ依頼が届いた。 孤島で行われる宝探しが安全に行われるよう、見張って欲しいという。 しかし殺人事件は発生してしまい、優…

船着き場にほど近いレトロな喫茶店錨亭。 夢見がちなマスターの藤士郎とバイトの芽衣子、そして常連客の橘伊作。 最近古生物にハマっているという伊作の無駄話を聞いていただけなのに、 店…

　1995年、阪神大震災による疎開から戻ってきたばかりの頃、かつての仲間と久々に会った。 　そして連れていってくれたのは、藤が見頃の平等院だった。 　少しだけ甘くちょっとほろ苦い…

それは、友人の娘との『ふじ』でのお話。それは、片時雨な話。 何も解決しない関係。だが、これは道であったのだ。

小学四年生の淡い初恋。でも君は、もうすぐいなくなるんだ。 ただのクラスメイトの阪本は、同じクラスの人気者、藤咲さんに手を伸ばす。

唐棣（はねず）家の庭に植えられた一本の藤が「鬼憑き」と呼ばれているわけは、枯れることなく年中花を咲かせることと、藤の下に緋色の目をした鬼がいると噂されているからだ。 けれども一人…

こんにちは、九州大学文藝部です。今年の春から、オンライン公開を行っております。今回は「新入生号」をお届けします。「新入生号」とは名ばかりで、ほとんど新入生の作品はありませんが、古…

務武と安里は、小学生の頃からの幼なじみだった。二人の絆をより一層深めたのは、小さな商店で買うサイダー。暑い日も寒い日も、祝い事がある度にサイダーを買って乾杯を交わした。月日が流れ…

漢文学を学ぶ大学生の掲藤人は、旅行先の敦煌で「本物」の夜光杯を買った。 その夜光杯が引き起こした厄介事とは──。

花言葉 ネリネ　また会う日を楽しみに 白の菫　無邪気な恋 藤　決して離れない

三ノ輪の長屋に、お化けのような年増の安女郎を並べ、いい商売をする三太郎という乾物問屋の主がいた。 そこへ、若くて別嬪で品のいい女が、女郎志願にやってくる。 三太郎の俳諧仲間の俊吉…

昭和の春、安井金比羅宮に女学校の友人と共に訪れた14歳の鈴。そこで彼女は、暗い藤色の瞳をした女と出会う。花房と名乗る彼女の首には、首くくりの縄目のあとがあった。無垢な娘と死を願う…

初めに犬が死んだ。 次に、ひとが死んだ。 同じ仏滅の日の同じ時刻に、別々の場所で四人の男女が心中！ 寛政江戸の不可能犯罪にお役者目明し浮多郎が挑む。 「東洲斎と洒落斎、ふたり合…

「拙者売ります」の看板を首から下げた牢人が、入谷鬼子母神の境内に座っていた。上野の質屋の後家が、この牢人を買ったことから事件が起こる。 東洲斎と洒落斎、ふたり合わせて写楽だぁー。…