「正史」を含む小説

　稲森湊斗は、一日のほとんどをベッドの上で過ごしていた。暗い部屋の中ではいつも一人。時折、顔を合わせる人もたった一人だけ。後に知るまでは名前も知らず、自分の顔すらも見たことがなか…

都会から、我気逢町という田舎町へ引っ越してきた中学生・ナツメ。新しい学校の同級生は皆優しく、楽しく過ごしていた。だが、次第に母親の様子がおかしくなっていく。 一方、フリーターの園…

音楽ライターの「私」は、正体不明のシンガーソングライター「フーディエ」に関する調査を進める中で、奇妙で不可思議なエッセイ風の文章やブログ記事を発見する。 ひとつめの文章は、3人…

　進次郎は妻明奈と娘美桜、息子玲央の一家四人での引っ越しを検討中、物件サイトで破格の条件で売られていた家を見つけた。その家には昔から祀られていた石碑があり、自治会が世話をするため…

北海道網走市に座するとある大学。そこに通う大学三年生の花崗冬彦は、所属先の海生哺乳類研究室の解剖室で、奇妙なアザラシの胎児を取り上げる。 人の顔をし、人の声で泣くその「人面アザラ…

　明治三十四年。大地主の幼い娘、宍塚千代は母のるりが空へと昇ってゆくところを目撃する。るりはクリスチャンであるため、千代は彼女が聖母マリアのごとく天に召されたのだと信じた。それか…

あらすじ 「唄声が……聞こえた気がします」 　そこは荒れ狂う吹雪を讃える機巧山。 　地方の瑠璃島市にて催されていた雛曵き祭りを鑑賞後、機巧人形劇団を名乗る七人の劇団員は、人形峠と…

あらすじ 　穢れが残る忌み山として恐れられる宵霧山に隠れるようにして存在する叢雲邸。 　別名水鏡邸と呼ばれる屋敷の管理を一週間、というアルバイトを引き受けた古泉秀一は、同じ大学生…

あらすじ 「あれ？　こんな写真……スマホにあったかな？」 　スマートフォンに届く謎の写真……それを見た人々が行方不明になるという事件が多発する日本。 　行方不明者の行き先もわから…

平成四年、滋賀の片田舎「餐原（さんばら）町」で妻を喪った号は、町を支配する医師一族の一人・祭原慈愛と出会い、妻の死にまつわる謎を追い始める。それは祭原一族に秘められた、恐ろしい因…

舞台は近未来の日本。 普通の人には見えないものが見えるかもしれないと自覚している石田洋一朗は不穏な噂が流れているある中学校で教員をしていた。 ある日、退勤途中のバスから路上に立…

我が子を殺めた罪で服役している男。 男には今や連絡も取れなくなっている義母だけには、伝えておきたい事があった。 どうにかして義母の連絡先を調べると、男は自分を「僕」と書いて妻の母…

***** あらすじ(結末まで。ネタバレ有) 　順風満帆な人生を送っていた男性、譲原隼人【ゆずはらはやと】は、妻と子供二人、そして今から生まれてくる三人目の子供を待ちながら、幸…

（応募用のためネタバレあり） 梗概 そこに暮らす人々は自分たちの暮らす空間を「穴」と呼んでいた。穴の底には村があり、四方を崖に囲まれていた。 東側の住人であるイレノルは、村の…

※レギュレーションの為、このあらすじはネタバレを含みます。 田舎でジャム工場を営む温厚でお人好しな兄、壱山健一は弟の勧めで買った会社名義の株が暴落し困窮していた。 トレーダー…

主役は曹馥(そうふく)。曹操の命を救った曹操の従弟・曹洪の跡取り息子で、弓と馬の腕前なら誰にも負けません。この曹馥が親友にして義兄の李暁雲(りぎょううん)と明るくノリよく元気よく…

【結末までのネタバレを含みます】 人が住む現世と妖が住む幽世がある。現世と幽世は一つの扉によって繋がっている。 優しい心を持つ半妖の青年・狐井絃は、幽世と現世を繋ぐ扉を守る閂…

東京は丸の内。事件記者の東城達也と刑事の西園寺和也は車椅子生活者の友人、片桐美波に半ば強引に“デート”に誘われる。 東京駅、グランルーフ、八重洲地下街と巡る三人のドタバタデートは…

【「第45回横溝正史ミステリ＆ホラー大賞」応募作品】 二十五歳の小山内一郎は、半ば追い出される形で会社を辞めることになった。 心身ともに疲れ果てた彼の為に、仲間たちが計画してく…

　四年前、赤丘市で発生した中学生絞殺事件は、未だに未解決である。 　事件当時、開光高校三年生だった暁斗は、学園祭の演劇のリハーサルのため学校に残っていた。その夜、彼は親の迎えを待…