「短編 幻想」を含む小説

「皐月、不思議な匂いがする。温泉、みたいな？」 　瑛太がくんと鼻を鳴らす。皐月は慌てて紅紫色のマフラーを鼻までたくしあげた……。 ゆきのまち幻想文学賞、最終選考に残していただい…

短編の物語を不定期で投稿します． 連作ではありません．各話は独立しています． また、これはフィクションです．実在の人物・団体等には一切関係がありません．

一話完結の短編です。 思いついたら更新してます。

ぼくの家は森のなかにあって、そのひとにとっては宝石箱のようなものだった。

夢の中で、男は少女と出会う。

得体の知れない百八十秒を記録。 カクヨム３周年記念・6日目お題、「最後の3分間」への参加です。

ゲトオンパ子というふざけた名前の女の子が異世界でやりたい放題やった挙句にこんなことになってしまいます。 単純に異世界という設定にした方がお読みいただけそうなので、そうしているだけ…

妖しい者が、決まりを破ってやってくる。

「今は嘘をついてもいい時間だからさ」 　呆気にとられて立ち尽すぼくを置き去りにして、店主は店の中に戻ってしまう。書店員として新米なぼくは、この街の住人としても新米である。ゆえに、…

　ふたりがけのシートが向かい合っているボックス席に、ぼくはひとりで腰掛けていた。 　車窓は夕焼けを切り取っていた。もしかすると朝焼けなのかもしれなかった。黄金に朱を流しこんだかの…

公爵夫人の部屋を掃除するメイドは、洋ダンスの引き出しの中が気になって仕方がない。 その引き出しは主から「決して開けてはならない」と厳命されていた。 しかし、好奇心に負けて開けてし…

フクロウを題材にした短編です。

月世界に住む翠憐（すいれん）と遠雷（えんらい）は、雨の日に路地裏に倒れている青年を助ける。彼は病院に行くことを拒み、目覚めると自分は欠陥品のアンドロイドで、自分で自分を破壊するた…

　食餌を終えた梟が声高に啼いた。月は歩み、少女は光のなかに、私は夜のなかにいた。少女が顎を擡げると、微風が赤の髪を揺らした。艶やかな赤は皓に曝され、降り注いだ皓は雫となって滴り落…

　高校生の篠入桐花は、差出人不明の封筒を受けとる。そこには、一葉のモノクロ写真が収められていた。美しくも不穏な光景に記憶を喚起され、桐花は南へ向かう。 　かつて母が命を奪われ、父…

記憶というものはあてにならない。

　その街の印象は灰色だった。 　透きとおっているわけでもなく、霞んでいるわけでもない。曇っているわけでもなく、ぼやけているわけでもない。透明度はひどく高く、彩度だけがひどく低い。…

月夜の晩に“僕”が出逢ったのは、つり目の少女“グリザベラ” 夜の二人が繰り返す、変身とたった数時間の逃避行

「一服ですか？」 　頭上から降ってきた声音に、男は街に落としていた眼を坂の上へと移した。 　大きな紙袋を抱えた人の影が、音も無く、滑るように石段を下りてくる。影の持ち主は小柄で華…

　なんとなく書いていた短篇あれこれ。 　基本的には、一話読みきり。どこからでもどうぞ。 　何も考えていなかったので、ジャンルだのなんだのは実のところありません。 　ファンタジー…