あ、私ではありません。「えげつない」という言葉を持ち出したのは。公爵夫人の屋敷で働くメイドの一人、ルイザが発した言葉です。
赤い髪をした彼女は、なかなかに個性的であり何か憎めない幼さを残す使用人。つらい下っ端仕事に耐え、ようやっと私室のお掃除を任されるまでに信頼を勝ち取ります。
そんな彼女のいたずら心がうずうずする種を公爵夫人が蒔きました。
さて、婦人は一体どんな種を蒔いたのでしょう? 彼女はうずく好奇心を制御できる? それとも――。
怒涛の展開、衝撃のラスト。しんみり、ドキドキ、ワクワク、ほわほわ、クルンクルン。いろんな感情を味わうことができました。
おや? どこからか笛の音が聞こえてきませんか? 踊りだしたくなるような軽快なそれが軽やかなステップを踏む靴音とともに。
さあ、あなたも。不思議の国をのぞいてみませんか?