【カクヨムコン11特別企画】特別選考委員・phaさんインタビュー! 「面白いエッセイ」とは一体どんなもの?

エッセイ・ノンフィクション部門に「pha賞」新設!

12月1日(月)正午より応募開始となる「カクヨムコンテスト11【短編】」では、エッセイストのpha先生が選考委員をつとめる「pha賞」が設けられています。
400字~10,000字のエッセイ作品から選ばれるpha賞の受賞者には、正賞:記念品&副賞:Amazonギフトカード1万円分を贈呈するほか、受賞作を「小説 野性時代」(2026年8月号)に掲載予定です。

▼「pha賞」の詳細は「カクヨムコンテスト11【短編】」応募要項から kakuyomu.jp

かつて運営していた出入り自由なシェアハウスでの思い出や、40代のリアルな心境を吐露したエッセイが人気のpha先生。
ブログに始まり、WEBサイトでの連載、書籍出版などさまざまな媒体での執筆経験を持つ書き手です。

今回はそんなpha先生に、選考委員としてどんな作品を期待されているかインタビューを実施しました。
応募しようと思っている人、エッセイにもチャレンジしようかと考えている人、必見です!

GUEST
pha

pha

1978年大阪府生まれ。著書として『どこでもいいからどこかへ行きたい』(第15回エキナカ書店大賞)、『パーティーが終わって、中年が始まる』、『おやすみ短歌』(枡野浩一・佐藤文香との共著)など多数。文筆活動を行いながら、東京・高円寺の書店、蟹ブックスでスタッフとして勤務している。散歩と短歌と日記が好き。

pha先生インタビュー

WEBにおけるエッセイ

――このたびは、特別選考委員をお引き受けいただきありがとうございます。今後カクヨムでもさらにエッセイを盛り上げていきたいという気持ちで、「pha賞」を新設いたしました。phaさんは、カクヨムのことはご存じでしたか?

pha先生(以下「pha」):はい、サービス開始時からチェックしていました。KADOKAWAがこういうのをやるのか、新しい試みだなと思ったのを覚えています。SNS のタイムラインに流れてきたりするのでときどき見てますね。

――ありがとうございます。今回の依頼が届いたときは、率直にどう思われましたか。

pha:光栄だけど、自分でいいのだろうか、と思いましたね(笑)。まぁ、僕みたいなのがやることで応募のハードルが下がって参加しやすい人がいるのなら、やる意味はあるかなと。

――phaさんご自身はブログも続けつつ、書籍でのエッセイや小説などさまざまな媒体でご活躍されています。今回WEBエッセイが集まるコンテストということで、どんなことを期待されているでしょうか。

pha普段読まないようなものが読めるのが楽しみですね。自分からは触れないタイプの作品や筆者と出会えると思うので。「今はみんなこういうの書いているんだ」とか「こういうのが流行っているんだ」とか、いつもと違う刺激を受けられそうです。もともと小説投稿サイトだから、インターフェース的にほかのブログや投稿サイトとは異なるカラーの作品が集まってきそうですね。

――phaさんのなかでは、WEBで文章を発表することと、書籍で発表することにどんな違いがありますか?

pha:書籍にする方が、自分とは距離がある「独立した作品」を作る感覚がありますね。WEBだと生身の自分と直接繋がっている感じですね。編集の手が入る前の粗削りな、自分そのままが書かれている。それは少し怖いことでもあるけど、リアル感という一つの魅力でもあると思います。そういった書籍では読めない熱さみたいなものを、今回の応募作でも感じられるといいですね。

――カクヨムは小説を書く人の多いサイトなので、今回初めてエッセイに挑戦する方も多いと思います。「小説ではなくエッセイを書く」ということの面白さはなんでしょうか。

pha:書き手自身と密接に結びついているところだと思います。人間、誰でも会って話してみたらかならず面白いところがある。だから、その人が自然に思ったり感じたりしていることを書いてもらえれば、エッセイは面白いものになる。これは、誰もが自分自身を発信していくインターネットの時代にも合っていると思います。そういう意味で、インターネットとエッセイは相性がいいですね。

――ある意味、作品としてエッセイを書く前から、誰もがエッセイストとして発信し続けている時代なのかもしれませんね。

pha:まさにそうだと思います。小説の場合は作品と書き手は分かたれることもありますが、エッセイでは分離できない。僕はエッセイしか書けないんですよね。小説を書こうと挑戦してみたこともあるけど、エッセイとして書いたほうが早いな、と思ってしまった(笑)。ワンクッション挟んでフィクションにするんじゃなくて、自分自身を直接そのまま出したいんですよね。エッセイ向きでインターネット向きな人間なんだと思います。

エッセイを書くための「3つの段階」

――「自然に思ったり感じたりしていることを書く」というお話ですが、いざ白紙に向かうと何から取り掛かればいいか悩むと思います。phaさんは普段、どのように書き始めますか?

pha:改めて言われると少し難しいですね。僕は本当に自然に思ったことを書いているだけなので、あまり意識していなくて……。ただ段階で言うと、「箇条書きで思いつきを書き出す」「粗削りな文章にする」「文章の流れを整える」の3つのフェーズに分かれています。最初は面白くないことでも全部思いついたことを言葉にして書き出してみる。そしてそれをあとから整えていく。そうやって段階を分けてみると気が楽です。

――ぜひそれぞれの段階を深掘りして伺えればと思いますが、まず第一段階において、エッセイのネタはどこから探すのでしょうか。

pha:日常のなかであったこと、思ったことが基本ですね。イメージとしては「次に友達に会うときにこの話したいな」くらいのネタでいいんじゃないでしょうか。そういうネタが日常のなかであったら、忘れないようにメモしておく。僕の場合は日記を書いているので、そこに気付いたことはとりあえず全部書いてますね。ネタには適切なサイズがあるんですよね。2,000字のサイズのネタもあるし、500字のサイズのネタもあるし、1ツイート(140字)くらいがちょうどいいネタもある。慣れてくると、「これは1000字くらいのネタだな」と、書く前にサイズがわかってくるようになります。

――今回のコンテストは400字から10,000字ですが、よく「何字くらいが最適なのか」という質問をもらうことがあります。今の話で言えば、「そのネタのジャストなサイズ」がよいというアドバイスになりそうですね。では次に第二段階の「粗削りでもいいから文章にする」について詳しくお願いいたします。

pha:読みやすいかどうか、とかは考えず、文法が間違っていても気にせずに、とりあえず全部書いてみるようにしています。関係ないかもしれないことや横道に逸れたことも書く。要らない部分はあとで削ればいい。考えて書くというより、指が動くに任せて書く。書いているうちに新しい要素が出てきたり、話が広がることもあります。最初はまとまりとか考えず、とにかく膨らませていくのがおすすめです。

――「とりあえず書く」にあたって、最初の書き出しに躓いてしまったらどうすればいいでしょうか。

pha書き出しをどうするかというのはあとから整えればいいので、最初の段階においては、思いつくままにガーッと書いたらいいと思いますね。書き出しや結びは次の、第三段階で整えます。

――では第三段階について、具体的な工程を教えていただけますか。

pha:ここでは、第二段階で書いたものをなめらかな文章として成形していきます。重複する部分を削ったり、「思う」って何回も言ってたらそれを一つだけにするとか、そういうふうに形を整えていきます。

僕は、書き出しと結びをそれっぽくするとエッセイになる、と思ってるんですよね。中盤部分は、思ったことをだらっと書いて並べればいい。最初と最後だけ、なんかエッセイぽい感じにすると、形としてまとまる。

具体的にどういうパターンがあるかというと、好きなエッセイ集を開いて、書き出しと結びのパターンを集めてみるといいと思います。僕も迷ったときは、好きなエッセイ集を読み返して真似することがありますね。

――エッセイの中盤が書き手自身の発露だとすれば、書き出しと結びはパターンや型に頼るのもアリということですね。

pha:そうですね。「型」みたいなものをうまく使えれば、エッセイとしての完成度は高くなります。書き出しがつまらないと読者はすぐ読むのをやめてしまうので、印象に残ることが重要。最初の二行ぐらいは、なんかちょっとかっこつけたいですね。

――結びについて質問なのですが、エッセイには常に「結論」が必要なのでしょうか。

pha:あってもなくてもいいと思います。エッセイははっきりした主張がなくてもいいので。中途半端なところで終わって余韻が残るような終わらせ方もあるし、突然風景の描写で終わってもいい。それぐらい書き方は自由でいいと思います。ただ、型を破るためにも型を知っておくのは大事なので、いろんな終わらせ方を学ぶことは有効ですね。

WEBの文章はある意味、今話した中盤の部分だけが載っているような雰囲気のものも多そうで、それはそれで魅力でもありますが、書き出しと結びを少し作り込むだけで作品っぽくなるので、おすすめですね。紙に印刷すると文章の印象が変わるので、印刷して読み返してみるのもいいかもしれません。

自分の心を観察すれば、誰しもエッセイが書ける

――応募要項公開時に、「あなたしか語れない渾身の面白い話を送ってください」というメッセージをいただきましたが、「面白いエッセイ」とはどのようなものでしょうか。

▲pha先生の応募要項公開時のメッセージ。

pha「その人ならではの世界の見方」が感じられることですね。自分とは違う人間がどう世界を見ているか、というのを知りたくて、人は文章を読むんじゃないかと思います。具体的には2パターンあって、体験自体が面白いタイプと、すごく日常的なことを書いているのに書き方が面白い、というタイプでしょうか。

――体験自体が面白ければ、ありのまま書くだけでじゅうぶん面白くなりそうですね。逆にそういった体験を持たない人は、どのように独自の切り口を獲得すればいいのでしょうか。

pha:常套句を使わない、というのは気をつけていますね。何か心が動くことがあったら、そのときの自分の心を観察して、素直な言葉で表現することが大事です。たとえば夕日を見たとき「エモい」って言うとその一言で終わってしまうので、もっと感情を細分化してみる。自分の心を観察すると、95%は「綺麗」って思っているけど、5%くらいは「怒り」があるかもしれない。そうやってみると人と被らない文章になるはずです。

ツイートしようと思ったことをエッセイに

――最後に、応募を考えている方や迷っている方に、メッセージをお願いします。

pha:普段自分が体験していることや、人と喋っていることは、すぐ消えてしまうものだけど、エッセイという形にすると残る。自分自身に強く結びついている、自分自身をそのまま見てもらえるエッセイというフォーマットは、今のSNS時代に合っているものだと思います。SNSにツイートしようと思った内容や、実際に過去にツイートした内容を、エッセイとして書き直してみると新たな発見があるかもしれません。ぜひ気軽に送ってみてください!

――本日はありがとうございました。応募を考えている方にもヒントになるお話だったと思います。ぜひ、選考よろしくお願いいたします。


pha賞を含む「カクヨムコンテスト11【短編】」は、12/1(月)正午から応募開始です。
何作品でも投稿可能なので、ぜひチャレンジしてみてください!
お待ちしています。

kakuyomu.jp