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3,134 作品
第2回『ファミ通文庫大賞』への多数のご応募ありがとうございました。前回に引き続き多くの応募作が集まりました。応募総数3,134件はファミ通文庫の新人賞としては『えんため大賞 ファミ通文庫部門』を含め、歴代最高の応募数となります
今回も応募作全体の傾向としましては異世界ファンタジー以外にも多岐にわたっていましたが、『ファミ通文庫大賞』によってファミ通文庫ブランドや「ゲームノベル特別賞」を認知していただけたのか、ゲームに絡めた作品も多くの優れた作品をご応募いただけました。
受賞作は2021年上半期の刊行を予定しております。
第3回の開催も予定していますので、どうぞふるってご応募ください。
伯爵家長男、ロニー・F・ナラザリオは誰もが当たり前に魔法を使えるこの世界で、一切の魔法が使えない落ちこぼれだった。
弟のヨハンが才能を見せ始めて以降、親からも使用人からも無視される毎日。
そんなある日、階段から足を踏み外したロニーは――――、
目覚めた時、科学者だった前世を思い出していた。
科学が根付いていない魔法世界で、魔法が科学で紐解けると考えたロニーは独自に研究を始める。
その中で、実はロニーの体の中には16年間分の化け物級の魔力がため込まれていることに気付き――――?
儚げな美貌と強大な聖魔法を持つ心優しき当代の聖女、ココ・スパイス十四歳。
……という公式設定を隠れ蓑に、常識外れな聖女様はやりたい放題ルール無用でまかり通る!
猫をかぶって理想の聖女を演じながら、引退後を睨んでせこせこ貯金に励む元ホームレスの野生児ココ。
下町を牛耳るギャング団? 国を乗っ取る王族? 陰謀を企む反主流派? 数百年ぶりに復活の魔王?
どんな相手だろうが、気に喰わなければ殴り倒して進むのが聖女様です!
聖女の横暴に胃を痛める教皇様。
そんな彼女が大好きな王子様。
聖女様被害者の会は、今日も加速度的に参加者爆増中!
これは小銭一枚見逃さない守銭奴ココちゃんと愉快な被害者(なかま)たちの、問題を腕力で解決する物語。
「ジジイ、毎年毎年一時金でごまかしやがって! 幼児の頃からいつまでも日給銅貨八枚でこんな仕事をやっていられるか!? 今年こそベースアップを要求する!」
「いい加減信仰心を身に着けんか聖女! 日給月給の聖職者なんておぬしだけじゃ!」
守銭奴の聖女が周囲を振り回すコメディタッチな作品です。やはり金銭に執着する聖女という他にないキャラクターに加え、周囲を取り巻く人々も生き生きと描かれており、キャラクター造詣の巧みさが高く評価されました。
「兄に言われ、借金のカタとして参じました。これからよろしくお願いいたします」
大学1年の夏、白木求の1人暮らしのアパートに突然押しかけてきたのは、彼の友人である宮前昴の妹、宮前朱莉だった。
求にとって朱莉は同じ高校の後輩にあたるが、高校時代殆ど話したことがなかった。
抱いていた印象も、学年を越えて話題にもなるどこか浮世離れした美少女という外見と、兄思いの良い子というフワッとしたものくらいしかない。
そんな朱莉が突然、兄・昴の借金のカタとして身を差し出してきた――それも、たかだか500円の借金の為に。
あまりに突飛な展開に戸惑う求だったが、そんな彼を強引に言いくるめ、着々と居候の準備を進めていく朱莉。
しかし、当然この借金のカタ云々には裏があった。
実は朱莉は以前から、求に対して特別な感情を抱いていて――
少し残念な一面も見え隠れする債務者の妹と、そんな彼女の好意に気が付かない兄の債権者との、奇妙な同居生活が始まる。
「これは本気で取り立てた方がいいな……」
「ふふふ、気長に行きましょう」
時には理路整然と、時には勢い任せに、時に空回りしながら、2人は少しずつ互いを理解し、距離を詰めていく。
これは、そんな2人を描いたひと夏の物語である。
たった500円の借金のカタとして友人の妹がやってきて居候するという印象的な理由から物語がはじまる作品ですが、内容はしっかりとした王道ラブコメで著者の筆力の高さを感じました。
一人も友だちを作らず、VRでオフラインの格闘ゲームばかりプレイしていた伊海田杏子(いかいだきょうこ)。彼女はある日、とあるゲームのCMに目を奪われる。
『エイス大陸クロニクル』――通称ECCと呼ばれるVRMMORPGだ。
リアルなグラフィックと心躍るファンタジックな世界観。「八番目の大陸にて自分たちだけの年代記を創り出せ」というコンセプト。今までオンラインに興味のなかった彼女だが、さっそく始めてみることに。
ところが、正式サービス開始と共にログインした彼女が降り立ったのは、何故か高レベルのモンスターがひしめくダンジョンだった。
「へぇ、噂に聞くRPGのチュートリアルって、こんな感じなんだ」(違います)
幾多の強敵を相手に何度も何度も死に戻り、それでも諦めず投げ出さず戦いを続ける杏子。その結果、ダンジョンを出る頃には杏子は誰よりも強いプレイヤーとなっていた。
オンラインVRの基本すら知らない陰キャ少女が時にうじうじし、時にひどい勘違いをしながらも自分だけの年代記を創り上げていく。
たった一人でVR格闘ゲームをプレイしていた主人公の少女が初めてのVRMMO『エイス大陸クロニクル』を持前のプレイスキルと勘違いで活躍していくゲーム小説です。主人公がトライ&エラーを延々繰り返して徐々に強くなっていく成長がしっかり描かれており、読後感も良い作品でした。
本作はゲームノベル特別賞を受賞していますので、コミカライズが予定されています。
「ファミ通文庫大賞」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
講評
設定自体はオーソドックスな異世界転生ファンタジーですが、世界観、キャラクター、ストーリー展開と総じてレベルが高く安定感のある作品として選考委員の高評価を集めました。一部やや強引な展開も見られましたが、改稿することでより良い作品に仕上げられる技量があると判断したため、満場一致での授賞となりました。