第5話 ギフト収入を得るためには太客を捕まえないといけない
「≪アルミちゃん≫様に就いていただくユニークJOBとは、『
「すとりーまー?」
なにそれ?
AOにそんなJOBあったっけ?
「日本語に訳すと、『配信者』のことです」
「配信者? つまりそれって、ユーチューバーみたいなもの?」
「そうですね。この場合、≪アルミちゃん≫というキャラクターのアバターで配信することになりますので、VTuberのほうがイメージ的には近いかもしれません」
なるほど、VTuber!
アニメのキャラクターでしゃべったり歌ったりして、信者からのスパチャもらって何億も稼ぐ人たちだ!
あんまり見たことないからよく知らないけど!
「えーと、つまりわたしはゲーム内で配信をする? それが仕事ってことですか?」
「そうです。そうなります。その様子をオーラムオンラインPhase.2公式ホームページ、その他配信サービスを通じて、≪アルミちゃん≫様の活躍を24時間リアルタイム配信いたします」
わたしのプレイが世界に配信される……。すごい……。
「配信を通じて得た収益の一部が≪アルミちゃん≫様に還元されます。収益はゲーム内通貨、ゲーム内アイテム、ゲーム内スキル等に変換されることになります」
「配信することでわたしは生活できるってわけかあ。あ、肉体と連動しているってことは、ゲーム内で食べたり飲んだり……」
「さすが≪アルミちゃん≫様。するどいです。健康を維持するためには、ゲーム内の通貨で売買、または狩りを通じて食材を手に入れて、栄養を補給しなければなりません」
「仮に食べなかったりしたら……」
「【HP】とは別に管理される隠しパラメーター【健康度】というものがあります。【健康度】が0になった時、オーラムオンラインPhase.2の世界から強制退去となってしまいます……」
強制退去……。
「その場合、二度とオーラムオンラインPhase.2に復帰することはできません」
なんだ。ログアウトの概念あるじゃん……。
「その場合、わたしの本体のほうは……」
「考えたくもないですね……」
いや、それは考えて!
連動しているってことは餓死なの⁉ そうなのね⁉
「そうならないように、しっかりと配信で稼いでゲーム内通貨を手に入れてくださいね」
にっこり。
じゃないんだわっ!
食べるために働かないといけないじゃん……って今と同じか。
リアルに就職するか、ゲームに就職するか。
なるほどそういうことね……。
「ユニークJOB『
「なるほどー。『
VTuberって露骨なエロ釣りとかないよね。キャラクターのアバターだし。≪アルミちゃん≫は超かわいいけど、清楚系のアバターだからなあ。みんな見てくれるのかな? エロい声とか練習する?
「そのままで大丈夫です! 私は≪アルミちゃん≫様の大ファンなので、サービス開始からずっと推しています! ただそのかわいいお姿が見られるだけで何億でもギフトを贈っちゃいます!」
「お、おう……」
GMに大ファンとか言われるとちょっと引く……。
やっぱりわたし……ずっと監視されていたってこと?
だけどそのままでって言われてもなあ。
「生活のためにもスパチャみたいなのを集めないとダメ、なんですよね?」
普通の配信者と同じ考え方なら、広告収入とギフト収入の両方が必要になるはず。たくさんの人に見てもらえれば広告収入も増えるし、その分だけギフトをもらえる確率も高まる。でもわたし、そのノウハウもないしなあ。
「はい、そうなります。広告収入よりも直接ギフトのほうが収益性は高いですから、その分≪アルミちゃん≫様への還元も多くなります。できるだけ太客を捕まえてくださいね♪」
太客って……。
水商売風味が強いなあ。
オタクで陰キャでスクールカーストも下位、彼氏もできたことのないわたしが太客を捕まえる人気配信者になるなんて……。
「キャラクターレベルが10に達するまでは、初心者ボーナスとして、広告出稿費は100%運営持ちになりますのでご安心ください」
「広告出稿費?」
「各配信サイトに≪アルミちゃん≫様のチャンネルを宣伝するための広告を出稿します。外部から人を呼び込まないと、視聴数は増えませんからね。その費用は本来であれば、収益から引かなければいけないのですが、視聴数が少ないうちはマイナス利益になってしまいます。そこで、初心者ボーナスとして、ある程度配信が軌道に乗るまでは運営側で助けましょう、という粋な計らいです」
自分で粋な計らいって言っちゃったよ……。
まあ助かるけれどね。
「それがあればいきなりお金がなくて食べ物が買えなくて死ぬ、みたいなことはないってことですかね……」
「そうならないことを祈ります」
死ぬっていうところを否定はしてくれないんですね。
まあその辺りもサポートAIとやらに聞けば良いかな。
「ではそろそろこの話をお受けいただけるか、意思確認をしてもよろしいでしょうか?」
お、急にきたね。
さて、どうしようかなあ。
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