第40話 私が焚き火の中に毒草《ポイズン・グラス》の束をいくつか投げ入れておきました
わたしは人間をやめるぞー!
これからはゼリンたちと楽しく暮らしていくもんね!
ね、ゼリンちゃんたち♡
「痛った! ちょっと何するのよ⁉」
ゼリンプールを気持ちよく泳いでいたと思ったら、急に激しく体を投げ出されて、地面にしりもちをついてしまった……。
草原フィールドで助かったよ……。ダメージ判定はなし、と。
「ねぇ、ゼリンちゃんたち! 今ズッ友の誓いを立てたばっかりでしょ! なんでわたしのことを用済みのゴミみたいにポイ捨てするの⁉」
ひどいったらありゃしない!
【一方的に誓いを立てても……。また片想いでしたね】
またって言うなし!
何? わたし、ゼリンにもフラれた感じになってるの⁉
【≪アルミちゃん≫の失恋シーンで同時接続数が3400人を突破しました。どんどん失恋していきましょう】
おかしいでしょ……。
もう絶対恋なんてしない!
【もう~恋なんてしないなんて~♪】
言わないよ絶対ー♪
って歌わせんなっ!
今ってワンフレーズでも歌うと使用料とか発生するんでしょ? 予算大丈夫なの?
【失恋ソングの包括契約を結んでいますから歌いたい放題です。気にせず歌いまくってください】
何その限定契約……。
誰得なの……。
【≪アルミちゃん≫、ゼリンたちに動きがあります。ふざけていないであっちを見てください】
ふざけているのは誰よ……。あっちって何?
「ゼリンたちが火の周りに集まってきているな……」
「焚き火を囲いながら、周りに束ねてある
≪レーモンド≫さんと≪ガーノルド≫さんが建物の陰からこちらを覗き込むようにして見ている。
「あー、はいはい。
「確かに集まって……しかし集まり過ぎじゃないのか?」
≪レーモンド≫さんがビビり散らかしているのもまあわかる。
さすがにわたしだってこんなに大量に――≪サンドラ≫さんの大きな庭が全部埋め尽くされるほどのゼリンが集まるとは思ってなかったよ。庭に全員入りきらなくて、ゼリンの鏡餅みたいに何段にも積み重なっちゃってるし……。
「ちょっと効果が高すぎましたかね……。まあでも、ノンアクティブモンスターだし、多く集まったからって被害があるわけでは……」
「色の違う個体も交じっているようですね。少し紫掛かっているのは――」
「それは……ポイズンゼリンですね。なんでだろ。
【みなさんが遊んでいる間に、私が焚き火の中に
ちょっと≪サポちゃん≫何勝手なことしてるの⁉
それのせいでゼリンとポイズンゼリンが混じってたくさん来ちゃったってこと?
【絵が派手になったほうが良いかと思いまして。ほら、同時接続数も5000を突破しましたよ】
得意げに言わないで……。
勝手なことされると困るんだよー。もし仮にゼリンたちが大群になり過ぎて
【絵が派手になりますし、そっちのほうが良いかと!】
コイツ……。
【ついでに焚き火の中に、特級HP回復ポーションも投げ入れておきました】
「ちょっとー! この
ホント何勝手なことしてるのさ!
HP回復ポーションは、
ん……でも冷静に考えればそんな効果初めて聞いたかも? 人間のわたしにはHP回復ポーションを燃やしても
【ゼリンをずっと狩っているだけの絵は地味なのでやめてほしいです】
だまらっしゃい!
配信メインで語るのやめて!
倒せる相手を倒して経験値稼がないといつまで経っても強くなれないでしょう!
【視聴者数が増えないと、戦闘になった時に他JOBに変身することすらできませんよ】
そうだった……。
でも、ゼリンならこのまま『
【顔が怖いです……。≪アルミちゃん≫、笑顔笑顔!】
いざ復讐の時! ゼリンたち、覚悟!
【ちょっと待ってください】
何よ? 今からゼリン大量惨殺を視聴者たちにお届けするところなんだけど?
【『
えっ? どういうこと?
【『
何の経験にもって……。
経験値ってそういうものなの?
モンスター1匹倒したら○○、みたいなシステマチックな何かじゃないの?
【何を言っているんですか? 人の経験とはそんなに単純なものではないでしょう。身にならない作業を続けても、何も成長はしませんよ。≪アルミちゃん≫はブラック企業で何を学んだんですか?】
何をって……。
上に言われた仕事を淡々と……心を殺して淡々と……。
あ、なにも経験値溜まってないや……。
【それに気づけただけでもえらいです。≪アルミちゃん≫はこれからですよ。一緒に大人になりましょうね】
うん……って騙されるかぁ!
なんで『
【それは……】
それは⁉
【開示できない情報です】
またそれ……。
なんでよ……。レベル上げられないじゃん。
【レベルを上げる方法は、自分で見つけてください。それも『
レベル上げの方法すら教えてもらえないの……。
マジですか……。
『
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