元アイドルプリースト☆アルミちゃん(独身29歳)ブラック企業の社畜から無職になった結果⇒⇒⇒サ終したVRMMOに就職決定!? ユニークJOB『配信者《ストリーマー》』になって世界を救います!
プロローグ【前】~VTuber≪アルミちゃん≫、Lv.1でヤギの悪魔・バフォメットに挑む!
元アイドルプリースト☆アルミちゃん(独身29歳)ブラック企業の社畜から無職になった結果⇒⇒⇒サ終したVRMMOに就職決定!? ユニークJOB『配信者《ストリーマー》』になって世界を救います!
奇蹟あい
プロローグ【前】~VTuber≪アルミちゃん≫、Lv.1でヤギの悪魔・バフォメットに挑む!
【≪アルミちゃん≫、いよいよボスが出現するエリアです。準備は良いですか?】
空中を駆ける真っ白な毛並みの猫――サポートAIの≪サポちゃん≫が声をかけてくる。上に向かってピンと張った長い尻尾が風に揺れていて……モフモフ触りたひ。
わたしは≪サポちゃん≫を追いかけるようにして林の中を進んでいく。わたしも空を飛べたら楽なのになー。ここ、周りの枝に服をひっかけそうだし、足元の草に足を取られそうになるし、すごく歩きにくい……。
「準備って言っても……まだ戦闘前だからわたしにできることは何にもなくない?」
【あります。大切な仕事をお忘れですか? 生配信を視聴してくださっている方々に媚びるという大切なお仕事が残っています】
媚びるってそんな露骨な……。
感謝するとか、応援してもらうとか、もっと丸い言い方っていうものがね?
【忘れたのですか?≪アルミちゃん≫のJOBは『
へいへい。
わかってますよー。
仕方ないなー。いっちょ媚びてやりますかー!
【つまり、視聴者がいてこその≪アルミちゃん≫。ギフトをいただいてこその『
「さすがにそれくらいはわかってるってー。ねーみんなー? 応援してくれるよねー♡ それに今さらそんなことを長々と説明しなくても、わたしだけじゃなくて、もうさすがに常連のみんなはこのユニーク職業『
“おう! 知ってるぜ!”
“全部聞こえてるんだよなあw”
“清々しいくらいに駄々洩れなんだがw”
“はよ媚びろwww”
“お前らギフトの残弾は十分か⁉”
“アルミちゃん今日もかわいいよ☆”
“痺れる戦いを見せてくれよな”
“<わたしたちもおうえんしている>”
“これを見るために今日も働いている!”
“アルミは俺の人生”
“ちゃんをつけろ! デコハゲ野郎!”
“アルミちゃんさん”
“名前呼んでくれたらギフト奮発するw”
“<ラストスキルはわらわに任せるのじゃ>”
“出た! LA(ラストアタック)の姫君!”
“のじゃのじゃ姫!”
“アルミちゃーん、こっち向いてー”
“サポちゃんモフりたい”
「みんな応援ありがとねー。いつも来てくれるみんなも、初めて見てくれたキミも、みーんなまとめて愛してるよー♡」
媚び媚びきゃるるん♡
ねぇ……わたし、三十路でこのロリっぽいキャラきつくない? 放送事故ってない……?
【大丈夫です。ぜんぜんいけます。私の中ではど真ん中ストライクです】
いや……≪サポちゃん≫の好みを聞いているわけじゃなくて……。
お、媚び媚びが効いたのかな? 良い感じに同接も増えてきたよー。
もうそろそろ戦えるんじゃない?
【適正レベル相当の戦闘力には少し足りません。あと10万ほど接続数を増やしてください】
「うへー、厳しい! みんなー、≪サポちゃん≫があと10万人連れてこいってさー。10万人のお友だちがいる人! お願い♡」
“友だち? なんだそれ? うまいのか?”
“だってよw10万人のお友だちがいる陽キャの人、頼むわwww”
“この中に有名なインフルエンサーの方はいませんか?”
“<わらわの国の民に呼びかけておいたのじゃ。じきに集まる>”
“お、LAの姫君、ホントに姫設定?”
“設定言うなってw”
“SNSのフォロワーならそれくらいいるが、さっきからポストしまくってるぜ”
“お前のフォロワーインプレゾ~ンビw”
”お、急激に同接増えてねぇ?”
“姫パワー来たか(ガタッ)”
“姫ー! 姫ー!”
“<わらわに不可能はないのじゃ。≪アルミちゃん≫のことは国をあげて応援するのじゃ>”
“のじゃのじゃ!”
“姫の国に乾杯![@ギフト・スターが100個贈られました]”
“おい、戦闘前にギフト無駄打ちすんな。今贈っても戦闘力のカウントに入らないぞ”
「あー、ギフトスターありがとね♡ ううん、戦闘の時じゃなくてもうれしいよー。わたしの今晩のおかずが1品増えるもん♡」
夕飯のおかずが増えるのはわりとホント。
ギフトスター1個もらえると、わたしにも100[SEED]の分配金があるから、スター100個で10000[SEED]ももらえちゃう! 戦闘の時にもらったギフトは、ほとんど武器や魔法に消えちゃうからねー。実は非戦闘時のギフトのほうがわたしはうれしい!
【私にも高級ネコ缶をお願いします】
「仕方ないなー。ボス戦に勝てたらね♡」
“負けフラグ?w”
“どうせ今日もワンパンだろw”
“だけどさー、今日挑むのはヤギの悪魔・バフォメットだろ?”
“あれをソロ討伐はだいぶヤバくない?”
“初めましてだと普通に負けることはあるな”
“初対面ならな”
“なんせ≪アルミちゃん≫はAO出身だからバフォの立ち回りは熟知してるだろ”
「ふふーん♪ そうだよー。バフォメットは得意中の得意だからねっ。わたし、元ハイプリーストだし、バフォメットは闇属性の敵だしー♪ なんなら火力役でも参加できちゃうくらいだったよ♪」
プリーストは基本支援職だけど、唯一の攻撃手段として、聖属性スキルによる攻撃を持っているからね。闇属性か不死属性の相手、または不死種族の相手だったらスキルで弱点を突いて大ダメージを与えられるのさー。つまり、バフォメットはわたしの得物ってわけ!
【ですがそれは≪アルミちゃん≫が高レベルになっていた時の話でしょう】
「そうねー。Lv.90を超えたあたりからは立ち回り次第ではソロ討伐もできてたかな?」
【今の自分のレベルがいくつかわかっていますか?】
「えっと……Lv.1……ですけど……」
“出たー!最強のレベル1www”
“マジウケるw”
“アルミ、いくらボスを倒しても一生Lv.1じゃね?w”
“経験値どこに消えてんのwバグ?www”
“ずっとレベイチだから、俺らがいないと敵倒せなくね?”
“俺らとギフトな?”
“<わらわがいれば無敵なのじゃ>”
“のじゃー!”
そうなの。
なんかシステムの欠陥があるのかわからないけれど、戦闘時に獲得した経験値は、なぜだかわたしの本体『
ちなみに今はロックされていて変身できないけれど、戦闘時に使用する職業選択用の『Wish List』を覗くと、戦闘時の『職業』一覧でのレベルは――。
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ナイト :Lv.100→2次転職済み:パラディン :Lv.80
プリースト:Lv.100→2次転職済み:ハイプリースト:Lv.62
マジシャン:Lv.100→2次転職済み:ウィザード :Lv95
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それなのに肝心な『
【おそらく今回選択される職業は『ハイプリースト』または『ウィザード』になるでしょう】
「まあそうよね。広範囲の闇ブレスを頻繁に撃ってくるから、魔法耐性が高くないとバフォメットと対峙するのは厳しいし、物理職はないかなー」
戦闘時に『職業』選択は、システム側によって自動で行われるので、わたしが「この職業のレベルを上げたい!」って思っても、なかなか思い通りにはいかない。まあ、唯一できる方法が、こうやってボスの特性や攻撃スタイルを見極めて、選択される『職業』を予測することくらい?
【≪アルミちゃん≫、同時接続数は十分です。そろそろいきましょう。それとも、せっかく集まってくださった方々に向けて、このままおしゃべり配信を続けますか?】
「もっちろんボス戦いくよー! ワンパンで倒してから祝勝会という名のダラダラおしゃべり配信に付き合ってもらう予定だから! みんなもそっちのほうがうれしいでしょ?」
“ダラダラおしゃべり助かるw”
“これで酒でも飲んでくれw[@ギフト・クマのぬいぐるみが贈られました]”
“だからギフトの無駄打ちやめいw”
“先に報酬を払うのは負けフラグだぞw”
“はよボスと戦ってくれ。このままだと風邪ひく”
“パンツ履けw”
“パンツ爆散した”
よーし、同接も減ってない!
≪サポちゃん≫、この勢いで、ヤギの悪魔・バフォメットを倒しに行っちゃおう!
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