23話 半修羅場、からのハグ。
「私は別にいいとは思ってるんだよ、義理の姉に興奮するのは。ただ失望しただけ」
「興奮してないです」
回想しても修羅場であることには変わらない。背中に冷や汗が流れている。
「翔君、安心して。このことは学校で言わないから」
「まず学校行ってないじゃないすか」
2人の視線が痛い。逃げ出したくなるが、ここで逃げ出してしまったら漢として負けた気がする。
「まぁまぁお二人さん、あなた達もハグしたら良いじゃないですか。抱き心地良いですよ」
「多分そういう問題じゃないと思う」
「「そういうことなら遠慮なく」」
「何を言ってらっしゃるのかしら」
瞬間、二人が獲物を前にした獣のように俺に飛びきってきた。避けようとしても遅い。瞬くと二人は眼前まで迫ってきていた。
(なんでこうなった?)
そんな疑問が浮かんだ直後、とんでもない衝撃が俺を襲った。俺はその衝撃を受け止めきれずに後ろに倒れ、背中を打ち付けてしまった。そして痛みを感じるよりも先に、二人分の全体重が俺に乗った。その後倒れた痛みが全身に走る。俺は痛みと体重に耐えながら言葉を発した。
「なんでこうなった」
*
「なるほど。カップルが妬ましくて俺にハグしてきたと……」
「まじごめん」
「まぁわかった。けど二人ともその気になったら彼氏くらいすぐ作れるだろ?なんで作らないで俺にハグしてくるんだ」
あの後二人を立たせて近くにあった海の家で話をすることになった。あと、いきなり飛びかかったことのお詫びとしてかき氷を奢ってもらえた。
今彩はトイレに行っていてこの場にはおらず、結に色々聞いている。ダリアはかき氷に夢中で話は聞いていない。
「まぁそりゃあ彼氏くらいその気になれば作れるよ多分。でもね、ショウ以外に良い男いないんだよ」
「いきなり褒めんなよ照れるなぁ」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか、と感心しながら俺は一番気になっていたことを聞いた。
「そういえば、なんで二人はここいるんだ?もしかして家近いのか?」
もしかしたらこの二人は近くに住んでいるのかもしれない。どこに住んでいるか知ったところで俺になんの得もないのだが気になったらから聞いた。
「いや全然。ちょっと商店街のくじ引きで温泉旅行当ててね」
「え俺らも温泉旅行当てた。商店街で」
「まじ?偶然だね」
その後も俺達は駄弁った。まぁすぐに話のネタは尽きたためすぐにお開きとなり、俺とダリアは泊まる予定の旅館に直行することにした。
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