1章
31話 これが日常・再
「年寄りってなんであんな話長いんだよ。話まとめろよ」
「まぁ確かに長いしつまらないしすぐ忘れちゃうよね」
「流石に言いすぎだろ」
9月1日。始業式が終わって休み時間、千秋と駄弁っていた。
「てか校長って何が偉いんだよ」
「知らない」
「だろうな」
ほぼ脳死で会話をするのは頭を使わないし、ストレスも感じないから最高だ。特に、レンタル彼氏のような仕事をする者にとっては至福の時である。
「トイレ行ってくるわ」
「お、うんこマン千秋だ」
「小学生でもそんなこと言わないよ」
そんな事知ってる。
千秋はドアを開けてトイレへと歩いていった。話し相手がいなくなった俺は無意識でスマホを取り出して電源をつけていた。これがスマホ依存か、とショックを受けつつも俺はそのままメッセージアプリを開いてダリアにメッセージを送った。
『暇』
『お姉ちゃんは眠いです』
『寝んなよ』
『じゃあ面白い話して』
『無理』
俺はアプリを閉じた。メッセージの通知がきているが、俺は通知を切って机に突っ伏した。
(すまんなダリア、俺は寝るぜ。暇なんだ)
俺の意識は闇へと堕ちていった。
*
トイレから教室に戻る途中、変な音が聞こえた。何かがぶつかったような鈍い音だ。その他にも女の嘲笑う声も聞こえるような気がする。
大抵こう言うのは関わってもロクな事にならないと相場が決まっている。昔読んだ小説でも、こういうところで首を突っ込んで面倒なことになってた。僕はそれを無視して自分の教室に戻った。
「よくこの短い時間で寝れるね」
教室に戻ると、ショウが爆睡していた。僕が席を外していたのはたった数分だと思うのだが。
「起きろ〜もうすぐ授業だぞ〜」
体を軽く揺すっても起きる気配はない。相当眠りが深いのだろう。
(……放置でいっか)
これでは埒が明かないので、僕は自分の席に戻った。
しばらくスマホをいじっていたらチャイムが鳴り、数学Ⅱを担当している担任が教室に入ってきた。夏休みが終わって一発目の授業が数学Ⅱなのは少し……いやかなりダルいが、僕は授業に集中することにした。ちなみにショウは授業の始めで説教という名の後悔拷問を受けていた。
これが、僕たちの馬鹿みたいな日常である。
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