3話 男は怖いよ
あの後、俺は電話で千秋に頼んで飲み物を買ってきてもらった。お陰で彩は復活したが、俺と千秋はホームルームに遅れて無事担任から怒られた。まぁ今回は人助けをしていたということもあって説教というよりは注意という感じだったが。そういえば担任が最後に「お前これから気をつけろよ。ファンに殺されるかもしれん」とか言っていた気がする。何が言いたいのかは全く伝わらなかったが一応気をつけておこう。
今……火曜日の5時限目、俺は眠気と戦いながら英語の授業を受けていた。火曜日の5時限目というのは学生にとっては辛い時間帯ではないだろうか。少なくとも俺にとっては地獄のような時間だ。
「〜であるからしてぇ〜こうなってぇ〜あの定理がぁ〜ニュートンはぁ〜私の推しがぁ〜」
教師の言っていることがほぼ聞き取れない。もうここは素直に寝た方が良いのではないだろうか。6時限目の授業は、俺が今日一番楽しみにしていた音楽の授業だ。今頑張って起きていても、次の授業で寝てしまったら今日学校に来た意味がなくなってしまう。そう考えた俺は、評価を捨てて瞼を閉じた。
(おやすみ世界。さよなら推薦)
*
「おいお前、話は聞いてんぞ。あの彩樣のこと襲おうとしたらしいじゃねぇか」
「……は?」
今日一番の目玉授業『音楽』が終わり、帰ろうとしたところに他クラスの男子達が寄ってきた。どうやら昨日体育倉庫から俺と彩が出てくるところを見られていたらしい。一応同じクラスの男子は事情を知っているのでまだ安心できるが怖すぎる。
「デタラメ言ってんじゃねぇ!こいつは彩を助けたんだぞ!」
「そーだ話しかけれもしないヘタレ共!」
クラスの中心的な存在である
「うるせぇお前も話しかけれないだろうが!」
「俺は“話しかけれない”んじゃなくて“話さない”んだよ勘違いすんな!」
……これは言い訳なんかじゃなくて、本心からそう思っているのだろう。そういうことにしておこう。でないと可哀想だ。
未だ光率いる陽キャ軍団と他クラスの男子連合(今命名した)は睨み合っている。手こそ出ていないものの、何かの衝撃ですぐに殴り合いに発展しそうになる状態だ。そんな中、千秋が口を開いた。
「一旦移動しようや。ここで殴り合いにでもなったら俺達全員指導室行きだぜ?」
「うるせぇ!黙れ!」
「停学にでもなってみろよ。彩さんからどう思われるだろうな?」
陽キャ軍団+俺と千秋、男子連合は大人しく場所を移すことにした。やはり千秋は強い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます