学園一の美少女はレンタル彼氏の俺をレンタルしました。

さすふぉー

エピローグ

「ここで合ってるよな?」


 日曜の昼前。俺、『ショウ』こと木芽翔このめかけるは『レンタル彼氏』のバイトで駅前まで来ていた。今は依頼主が来るまで待っている。

 このバイトはそれなりにビジュアルに気をつける必要がある。俺は髪型が崩れていないか、服装は乱れていないか、臭くないかなど最終確認をして、スマホで時間を確認した。この時、如何に格好良くスマホを見れるか、なども気をつける必要がある。依頼主は来ていないが、すでに仕事は始まっている。俺は気を引き締めた。


「あ、もしかして『ショウ』君?私、梅津彩うめつあやだよ。今日は宜しくね」

「あぁ、君が彩か。宜しく。今日は目一杯楽しもうじゃないか」


 スマホを弄っていると、依頼主が来た。第一印象としては……『美少女』これに尽きた。今まで様々な女に会ってきたが、その中でも頭一つ抜けて美しい。茶色の髪は肩くらいまで掛かっており、ほのかに花の香がする。きっと俺が仕事中でなかったら一目惚れしていただろう。しかし今はクライアントとホストの関係。惚れることなど許されない。


「ショウ君とのデート、楽しみにしてたんだ。エスコート、お願いして良い?」

「勿論。とっておきのプラン組んできたんだ」


 俺は手を差し出した。彩はその手を優しく掴んで絡ませた。体温が直に伝わってくる。少し気恥ずかしいが、これも仕事だ。俺はニヤけを抑えて彩をエスコートすることに専念した。

 今日の出来次第では、リピーターになってくれるかもしれない。そうしたら金を貰って美少女とデートできる。頑張って満足させようと、頭をフル回転させて俺と彩のデートが始まった。



 その夜、俺は今日のデートでの出来事を手帳にまとめていた。彩の好きな曲、食べ物、有名人や場所など、教えてもらったことは全て手帳にまとめる。こうすることによって、次の指名を貰っても相手の趣味嗜好に合わせた完璧なデートプランを作れるのだ。

 記憶を頼りに全てを書き出し、手帳を閉じようとした時に一つ大事なことを思い出した。


(確か高2って言ってたな……俺と同い年じゃん)


 そう、彩は俺と同い年だったのだ。確かそこから勉強が大変だとか、志望校がまだ決まっていないとか話を発展させていた。すっかり忘れていた。

 今度こそ手帳を閉じ、時計を見ると丁度23時を回ったところだった。また明日から学校がある。俺はすることもないのでそのまま寝た。

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