5話 お姉ちゃんだぞ!泊まらせろ!
木芽
「んで、何で俺の家いんの」
「なんとなく?可愛い可愛いショウ君とお泊りしたかったし?」
「なるほどまた母さん怒らせたのか」
「……てへ」
「てへじゃねぇよ」
俺は今実家を出て一人暮らしをしている。理由は色々あるのだが、その中の1つにこの姉がある。実家で暮らしていた中学時代、俺は主にこいつのせいで、家で一人の時間が無かった。寝ようとすると「お姉ちゃんも一緒に寝るー!」勉強しようとすると「お姉ちゃんに教えて〜」と、とにかく邪魔されていた。
「よし帰れ」
「え〜?やだよ面倒くさい。せっかくこの超美人お姉ちゃんが泊まりに来てあげてるのに」
俺は反論できなかった。実際、ダリアは彩と肩を並べるほどの美少女だ。
「お前が美人なのは認めるが、それとこれとは話が別だ」
「えぇ〜?いいじゃん少しくらい〜倉庫連れ込んでも彩さん襲わなかったヘタレ〜!」
「おう誤解だ俺は連れ込んでないぞ」
ダリアは俺と同学年で違うクラスだ。ダリアが知っているということは、他クラスの女子にまで広まっているということ。しかも俺がヘタレだと広まっているのだろう。心外である。
「お前ダチの家行けよ……」
「借金返してないから頼めないんだよ!」
「クズじゃねぇか!」
「ね?お願い!まじで泊まらせて!」
「うっせぇ!」
そんな事を言っているが、俺はダリアが泊まるための用意を始めていた。ダリアの荷物の一部は
「そーいや冷蔵庫何も入ってなかったね。買い出し行こっか」
「あ〜じゃあ行ってくるわ。何食いたい?」
「行きながら考えれば良くない?」
「ついてこなくて良いぞ、身内と言えど客人だし」
「まぁまぁ、久し振りに姉弟で会えるんだからさ。たまにはお姉ちゃんのお願い聞いてよ〜」
客人に買い物を付き合わせるのは気が引けるが、本人が望んでいるのならば仕方ない。と、自分を納得させてダリアと一緒に家を出た。
*
「たくさん買ったね〜買い忘れとかないよね?」
「いや、大丈夫だな。んじゃ早く帰りますか」
「お姉ちゃん片方持つよ?」
「お、じゃあ頼むわ」
俺はダリアに買い物袋を一つ渡した。本来一人暮らしなら袋は一つで済むはずだが、しばらくダリアが家に泊まるとのことなのでいつもより少し多めに食料を買っておいた。これくらいあれば2人で1週間くらいは持つだろう。俺とダリアは他愛もない会話をしながら帰路についた。
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