血の娘と吸血蛾

ある雨上がりの晩、街から離れた森の傍に一人で暮らす令嬢フルエットは、行き倒れの少年を発見する。
少年を介抱しようとしたフルエットだったが、そこへ現れた一匹の怪物に襲われてしまう。
胸を貫かれる傷を負いながらも少年を護ろうとしたフルエットは、彼がもう一匹の怪物へ――淡緑色の翅を持つ、半虫半人の姿と変化するのを目撃する。
姿を変えた少年は怪物を撃退するが、そのまま力尽きて倒れてしまう。
少年が血を求めていることに気付いたフルエットは、自らの血を彼に分け与えた。
それだけが、彼を生かす唯一の手段だったから。

生命の精髄をその血に宿した追放令嬢と、吸血蛾の少年が描くダークファンタジー。