阿漕の浦奇談
第9話 第三章脚注
是清が出家するとき未練を断ち切るために「ととさま」と無邪気に駆け寄る愛娘花子を突き飛ばしたという有名な逸話が残っています。しかしここにおける是清の真の心境をまずおもんばかってみました。出家以後も是清はたびたび恋しさと心配のあまり、我が家まで来ては柵の外からでもわが娘花子の姿をのぞいたりしています。法師の数々の名歌、なかんずく言挙げ歌からははかれない‘人間’西行の姿があるということです。しかしであるにも拘らず是清は出家しました。いまのご時勢で云えば高級官僚であり妻も子もある人物がすべてを捨てて出奔したようなものです。なぜそうしたのか、そうしなければならなかったのかをこの章で追求します。また阿漕の浦に至った是清と中宮璋子の心の変遷とその折りの事情をもおもんばかってみました。はたしてどこまで肉薄し得たか読者諸氏のご慧眼をたまわりたいと存じます。
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