第10話  天体望遠鏡

僕らはアカネの呼び止めを振り切り走った。

家に着くと仕事が早く終わったのか、母さんが先に帰っていた。

「お帰り、ノボル。ブラム。」

えっ?

母さんにはブラムのこと何も話していないのになんだ?自然すぎる対応?

ブラムが『エーテル星の科学力で地球人の記憶操作をした。』

僕は思わず「何ってことをしたんだ。母さんの脳に何を埋め込んだんだ!」

僕は大声でどり、ブラムの襟元をつかんだ。

ブラムの顔が引きつる。

母さんが「ノボル何、おかしなこと言っているの。ブラムとケンカしちゃだめよ。

早く手を洗ってらっしゃい。おやつ、ドーナツよ。」

いつも通りの母さんの態度に?たまに兄貴とケンカしたときと同じ口癖だ。

少し安心した。

僕らは洗面台に行った。「ブラム、どういうことだ。説明しろ。母さんに何をしたんだ。」

「落ち着け、ノボル。さっきはこわかったぞ。お前のエーテル星人としての破壊的能力で破壊されるかと思ったよ。」

「ブラム、僕のことはいい。母さんに何をした。」

「記憶操作。一、僕は双子として存在しいた。二、離れて暮らしていた。三、今日転校した。この3つを記憶に足しただけ。何かを脳に埋め込むなんて、野蛮で原始的なことを僕らエーテル星人はしないさ。ノボル、この辺境の地球で変な刷り込みがされていないか?正直、僕はそっちの方が心配だよ。」

「ブラム、母さんに害はないんだな。」

「当たり前だ。ない。何もない。エーテル星の科学力をなめるな。」

「そうか。」僕は安心した。リビングへ。

母さんが「テーブルにドーナツあるわよ。仲良く食べなさい。」

いつも通りだ。

僕は母さんに「明日、ハヤトが遊びに来たいって。泊りだけどいい?」

「いいわよ。でも明日は、お父さんとおばあちゃんの家に行くんだけど、ノボル達だけで大丈夫?」

「大丈夫だよ。」

「そう?ご飯はカレーを作っていくからハヤト君と食べなさい。」

「ありがとう母さん。カレーは人参多めに頼む。」

「わかったわ。ノボルは人参ほんと、大好きね。」

ブラムが不思議そうな顔で「人参?そんなにおいしいのか?」

「おいしいよ。」僕の顔が穏やかになっている。自分でもわかった。

その夜、僕は兄貴に買ってもらった天体望遠鏡を出した。

「ノボル、何してるんだ?」

「ブラム、見てみろよ。星が見えるぞ。たくさんの星だ。」

ブラムが「エーテル星は見えるかな?おー!見えた。ノボル、あれだ、左上の赤く見える星あれが僕らの星だ。」



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