第4話  エーテル星人

僕はブラムのことが気になったが、いつも通り、遅刻寸前のスリルを味わいたくダッシュで校門へ。

今日もギリギリの緊張感とセーフの達成感だ。

満足げに教室に向かう途中、後ろから声が。クラス一番の可愛いくて頭の良い女子。浅香さんが僕に話しかけてくる。

「天野君っていつもギリギリね。家、近いでしょう?」

浅香 星さん。星と書いてシズクと呼ぶ。

実は彼女とは、小学6年間ずっと同じクラスだった。

家も近所だ。しかし親しく話したことはない。

そう言えば去年、中1も同じ、今年も同じクラスだ。

浅香さんが返事をしない、ボーっと考え事をしている僕に。

「天野君、聞いてる?天野君!おーいノ・ボ・ル!」

「はあ?」僕は思わず声をあげてしまった。

「なーんだ。私の声、聞こえてるんじゃないの?だったら、ちゃんと返事してよね。

ノボル。」

「はーあ。」僕はあまり人と関わるのが好きじゃない。それにこの手のタイプは、苦手だ。僕には眩し過ぎる相手だ。

「ノボル、昨日、流れ星、見なかった?」

「流れ星?」

「火球かな?」

「私見たのよね。流れ星がノボルの家に着陸したところ。」

「?浅香さん、悪いが、何を話しているのか、わからない。」

関わりたくない僕は、目を合わせずにカバンを持ち直し早歩き。

浅香さんが「待って、ほんとにノボルは何も知らないの?」

僕は気安く、他人に名前を呼ばれるは好きじゃない。

それがいくら可愛い女子でもだ。

「浅香さん。僕は何も見てない。何も知らない。」

浅香さんが少し怒った顔で「こんなに可愛い女子が、ノボルに話しかけてあげているのに何よ、その態度。そんな、不愛想だから、国王にも疎まれたのよ。だからブラムに負けるのよ。ノボルのバカ。」

ブラム?

「ちょっと待った。浅香さん、今何って言った?ブラム。どうして浅香さんがブラムを知ってるの?」

「当たり前じゃない。ブラムはノボルの分身。もうすぐ、50光年に一度の全宇宙会議がはじまる。私達のエーテル星ではノボル、ブラム、ルークの3人の分身が代表に選ばれたのよ。それでブラムが578億光年の私達のエーテル星からノボルを連れ戻しに来るって連絡があったの。ブラムは昨日の流れ星でやってきたはずなの。」

「そうだ。その通りだ。しかし、なぜ浅香さんがそんなこと知ってるのさ。

浅香さんん君は誰?何者だ。」

「私はノボルのフィアンセよ。エーテル星人よ。」

「えーっ!」





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