第3話 地球人の僕になりすまし
カーテンのすきまから朝日があたる。
携帯に手を伸ばす。
5:38。「早い。早すぎる。」
地元の中学まで歩いて10分もかからない。
幼なじみのショウは野球部の朝練で一緒に登校したのは入学式だけ。
それ以来、いつも一人。ギリギリの時間で猛ダッシュ。登校している。
”時間は自分でつくるもの”だとせっかちな母さんの口癖。
自分で自分を分析すると、けっして怠け者ではない。
ただ、あのギリギリ感がたまらないだけだ。
遅刻しそうで、しないドキドキ。
チャイムの音とともにダッシュで、校門セーフ。見かけはゲームオタクそのものだが、実は僕は運動神経はいい。見かけと中身のギャップ。
これは自身の演出ではなく、ただそうなっていた。
携帯を見た。5:56。
そろそろ起きるか。「うん?」
「わー!ゴーン」2段ベットの下の段。
頭をぶつけた。
忘れていた。「ブラム?」
きのうの夜のブラム。夢であってくれ。
僕はそーっと2段ベットの上を覗き込む。
“いた。”夢じゃない。
口をあけて、マヌケそうに寝てる。
とそっくりの緑の髪の僕が寝ている。
なんか変な感じだ。
ファンタジーは突然、いや、ファンタジーじゃなくても事件は、こうやって急に訪れるんだ。
目の前のブラムに
「コツン」ブラムの頭をデコピン。
「痛っ。ノボル、何やってるんだ。」
「なーんだ。生きてるのか?」
「当たり前だ。僕は578億光年から来たんだぞ。
まだねむい。」
「それじゃ僕が困る。起きてくれ。
僕は、これから学校だ。起きろ。どうせ、その辺に乗って来た宇宙船でも浮かんでいるんだろう。僕が帰って来るまで、そっちにいろ。」
「いやだ。ここでねる。」
「ノボル、起きなさい。ご飯よ。」
「今いく。」
「ノボル、今のは?」
「母さんだ。怒らせるとはこわい。」
「ノボル!遅刻するわよ!早く起きなさい!」
「ほらね。じゃ、僕は学校へ行く。母さんたちも仕事に行くから、それまでは部屋から出るなよ。」
「はーい。」
僕は気になりながら朝ご飯。「行ってきます。」
しばらくしてノボルの母さんと父さんが出勤した。
「よーし、起きますか。」ブラムはベットから起きてベランダへ。
「地球の朝は気持ちがいいな。」空を見上げる。
隣りのおばさんが「ノボル君、あら、髪緑ね。学校は?」
「休みです。」
「そうなの。」
案外いい町かもな。地球は。
よし、朝ごはん食べたら町へ行ってみよう。
テーブルの上のパンをくわえ、僕ブラムは玄関を出た。
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