大戸島の娘　第一部　笑う島民たち

小笠原諸島に浮かぶ風光明媚なサンゴ礁の島「大戸島」。その観光課で働く三島笑子は、祖母の須磨子とともに暮らしている。同僚の蛭子修二は笑子の幼なじみで、昔から密かに笑子のことが好きだった。
その大戸島に核燃料廃棄施設を建設する計画が持ち上がり、政府の使節団や新聞社が乗り込んでくる。総理大臣矢島泰三の秘書大河原弘は施設の安全性、島の今後のメリットなどを吹聴し、島民たちを説き伏せようとした。彼は観光課の笑子にも近づき、自分は、施設が完成したら笑子とともにこの美しい島にずっと住みたいとまで言う。未来を語る弘に、笑子は恋に落ちた。
島で大きな反対運動が起きないことや島民が皆笑顔であることを良いことに施設は完成する。完成を記念して、大戸島に伝わる「御神乱神楽」と呼ばれる奇妙な神楽舞が披露された。「御神乱神…続きを読む