第20話

「楓さん、先、歩いて」


「あ、はい」


懐中電灯をつけ、先を歩くが、雪見さんはなんだかいつもの元気はない。霊が多いから?


「ご依頼された方かと思ったら違ったんですね」


「…とりあえず、道路の方まで歩きましょう」


「はい」


雪見さんは、ふらふらしてるように感じた。疲れてる?


「ご依頼された方のところに今から行くんですか?」


「…え、なんですか?」


「だから…」


「一旦、ここから離れてもいいですか」


顔色悪いみたいだ。


「…はい」


雪見さんは駅の方向へずんずん歩いていく。


「大丈夫ですか?」


駅に着いたら、ベンチに座ってぼーっとしてるけど。


「大丈夫じゃないです…。まずい、これはまずい…」


「汗だくですよ?なにか飲みます?」


「え!!いいんですか!じゃー炭酸系を」


いきなりテンション上がりすぎ。


「はぁ」


おごれってか。もー


「どうぞ」


「ありがとうございます」


…なんなんだか。


「あのおじさん、相当やばい」


「え?」


「ご依頼されたのは、サーファーでした。海の家にいる、息子さんが、いなくなったと。おじさんに聞いたら、体力なくてもう今年は来ないって。でも、そんなわけないらしいです。サーファー仲間だったから、時間ある時は一緒にやろうって言われてたらしくて。住み込みって聞いたから、翌日仕事終わりに行ったら、海の方で光が見えたらしいです。海の家は真っ暗で、あのおじさんが、なにか、してるのかな…って」


「…どういう」


「その日は帰って、翌日も仕事終わりに行くと、また海の方が光ってて海の家は真っ暗。広範囲を調べているのかも…しれません」


「なにを隠してるんですか…」


「あのおじさんが、息子さんを、隠してます…冷蔵庫に…」


「…え、えぇ!?」


なんでそんなことわかるんですか!


「もう、生きてませんよ…」


「どうして…」


「わかりません。ここにいるって、必死でした…でも、そこから動けないんです」


「なら、どうして…言わないんですか」


「そんなのいきなり来た奴らに見せるわけない、し…。楓さんは危ないので、住職を呼ぼうかと思います」

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