第9話

「なんか、運動部のやつらが言ってたけど、校庭で忘れ物ノートが焼かれてたらしいよ?」


「なにそれーどういうこと?」


「なんか、焼け残ってたノートを見たら、うちらのクラスのやつの名前だったって」


「え、待って。机に入れてたノートないんだけど」


「うそ。私のもない!なんで?」


教室はざわめいていた。


「ほら、席につけ」


先生はなにも知らずに、教室に入ってきた。


「なにを騒いでる」


「先生、忘れ物ノートが焼かれてたって…」


「誰がそんなことを」


「あ!俺のはまだある!」


ある男子生徒が、ノートを取り出した。

すると、先生は恐ろしい顔でその生徒へ寄っていく。


「なぜ持っている!いい加減にしろ!」


なぜかノートを取り上げられた。


「まったく。このノートはしばらく預かろう」


「え?先生なんで?」

「説明してよ」


「お前たちには関係ない」


「なんだよそれ!」


「先生がノートを勝手に取ったんですか?」

「勝手に生徒の私物見たってこと?」


「黙りなさい!」


「あ、俺もまだノートある」


「…!早く渡せ!」


「な、なんだよ!」


「いいから!渡しなさい!」


ノートにつかみかかってきたので、男子生徒は反射的に引っ張る。


「こら!手を離しなさい!」


「理由話せよ!」


「先生、なにしてるんですか」


他の先生たちが、いつの間にか廊下にいた。


「違う、私は…」


「このノート、生徒のこと卑下する酷いコメントが載ってました」

「そもそもなんですか?このノート」


「私は…」


「校長がお呼びですよ」

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