第8話

「このノート焼きましょう」


「え」


「楓さん、ノート集めよう。俺こっち側から集める」


「あ、はい」


対角線上に分かれて、ノートを回収する。


「さて、職員室へ持って行きましょう」


なにをする?まさか、先生を責める?

そんなことしたら、逆上しちゃうんじゃ?

そもそも、ノートを焼くって…


「お待たせしました。このノートが原因ですね」


私は雪見さんの隣に立っていることしかできない。いったい、どうするの?


「なに?それがどうした?」


先生は私たちの方はやってきた。


「呪われている」


「…は?そんなはずない」


「本当です。このノートを焼きます。校庭でいいですか?」


「バカなことを!」


「存在が、いけません。あるだけで影響を受けます」


「…なにぃ?」


「本当です」


雪見さんは、冷静だ。


「…本当なんだな?」


「はい。では、行きましょう」


校庭で、ノートを焼くらしい。なぜか雪見さんは、ライター持っていた。タバコ吸うの?


しゃがんで…そして、一つのノートに火をつけた。すると、雪見さんは、足元に積んであったノート1つを先生へ渡す動作をする。


「先生が燃やしてください」


「…なぜ私が」


「あなたについた、呪いです。一冊ずつ、燃やして下さい」


「…ふん。バカバカしい」


そう言いつつ受け取り、しゃがんで燃やし始めた。

すると、雪見さんは立ち上がり、近くで立っていた私の手を引いて、先生のだいぶ後ろへと移動した。


「まだ燃やしてないノートを先生にぶつけて」


「え」


「ここから」


「わかりました」


右手を微かに動かすと、簡単にできる。


「な、なにする!」


置いてあったノートが宙へ浮き、頭を叩いた。


「どうされました?」


「い、今…」


「燃やし続けて下さい」


先生は、青くなってる。


「早く燃やして下さい」


「わ、わかって…」


隙をついて叩く。


「や、やめてくれ…」


「先生、ノートを全て燃やして下さい。先生が作ったノートなのでは?」


「…私が悪いのか?私の、せいなのか?」


「全て燃やしましょう。存在してはいけない」


「許してくれ、ノートを作ったこと…間違っていた…」


ぶつぶつ言ってる。


「楓さん、火が危ないし、砂とかかけられます?」


「できますよ?」


ふわっと右腕を振ると、砂が舞った。ちょっと、力入れすぎちゃった。


「大丈夫ですか?」


先生にまで砂を結構かけてしまった。


「ゴホゴホっ、なんなんだ…これは…」


「全て焼けたのなら、完了です」


「本当ですか!」


「はい」


「ありがとうございます。報酬をお渡しするので、お待ちください」


ばーっと灯りのついている校舎に走って行った。


「楓さんすげーわ。まじ助かる」


「雪見さん、なにもしてない」


「俺は嘘をつくのにせーいっぱい」


「相当嘘つき」


「じゃないと終わらないんですよ」


それは、そうなのかも…しれないけど…


「お待たせ、しました」


先生は走ってやってきた。いったいいくらもらえるんだろ?袋入ってるしわからない。


「では、戸締りをしてお帰りください」


「ありがとうございました」

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