第2話

電車に揺られながら、家から持ってきたおにぎりを食べる。もし混んでたら食べられないところだった。


駅に到着したけど、一緒に仕事をする天野あまのさんはいない。待ち合わせ時間より、早かった?


しばらく待っていると、作務衣さむえという格好で天野さんは現れた。着物みたいな生地だ。


「どーも、遅れました!」


「…電車じゃないんですか?」


「全力で走ってきたんですよ」


…えー


「いやぁ、疲れました」


「…電車乗らないんですか?」


「金ないんで」


「でも移動費出してくれるって」


「俺には出ませんよ〜。んじゃ、行きましょう」


天野さんは、さっさと歩いていく。それについてゆく。


「天野さんはご飯、食べましたか?」


「いや?後で」


私食べてきたけど、すぐ終わる仕事だってこと?


「天野さん、私の服装、大丈夫ですか?」


白シャツに、黒のボトムス。髪型は、いつものツインテール。ただ、目がブルーだからちょっとなにか言われちゃうかもしれない。


「え?服装とかどうでもいいんじゃないっすか?」


雑すぎる…全然見てないし。

天野さんは作務衣に黒のスニーカー。髪の毛は片側に長くしていて、ピアスもしてる。


「どうでもって、お客様のところに行くんですよね?」


「そうですけど、とりあえず露出してなきゃいいんじゃない?」


そんな格好しませんけど。


「天野さんは…」


「あー、天野だと住職のことだと思っちゃうんで、これからは雪見ゆきみって呼んでもらえませんか?」


「はぁ、雪見さんでいいですか」


「はい。楓さんは…あれ、苗字なんでしたっけ?」


観音寺かんのんじです」


「あー、じゃあ楓さんのままで」


別に苗字で呼んで欲しいとは言ってない。

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