第30話

カメラも、スピーカーも破壊されていた。

あのお姉さんが、どうやって?


スマホに転送されて、残っているデータを確認してみるが、壊されている映像はない。一瞬で画面が真っ暗になるだけだ。


スピーカーはいつ壊れたんだろう。だって、地面の中に、入れていたのに…


急に怖くなった。


恐る恐る掘ってみたところ、見事にバラバラだった。バッテリーが、こんなに壊れることなんて、ある?取り出して壊したなら、破片は散らばるのに、全部地中にあった。それに、掘った形跡がない。


お姉さんは、涼しい顔をしていた。黄色のパーカーは汚れひとつない。カメラだって木に登らないと、壊せないはず。なのに…


あの人たちは、みんなと違った。ベンチの側から離れなかったし、それに…スピーカーが聞こえてるはずなのに、顔色を変えずに話していた。


だってその前のカップルは飛び上がって、走り去ったのに。


怖いから、もう辞めよう。

じゃないと、捕まるか…


次やったら、お姉さんに粉々にされちゃう…


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